迷路の先には君がいた

「俺はつらくて他の女に逃げようとしたが無理だった。どんな時もお前の顔ばかりちらついて忘れられなかった」

「香りが昔と違う……」

「ああ、芙蓉がくれたあの香水はもうない。芙蓉、お前の身体からほのかに薫る、この甘い香りが恋しかった。ずっと欲しかった。お前ひとりを愛してた。俺は芙蓉しかいらない……」

 チュっと音を立てて、胸元にキスを落とす。

「お前は?俺のこと今でも……」

 芙蓉は彼のおびえた目を見て、手で彼の顔を囲い、そっと唇を重ねた。

「心にはあなたしかいない。身体もあなたしか受け入れたくない。私もずっとあなただけを愛していたわ、鷹也」

 鷹也は勢いよく芙蓉を抱きあげ、ドアを蹴って寝室へ入った。

 四年の時を超えて、恋人は甘く深くつながった。


 
 

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