迷路の先には君がいた

「なんだ、それで落ち込んでるのか?」

「だって……私が病み上がりと思えるほど、見るに堪えない姿だという事でしょ」

 顔を覆い、肩を落とす芙蓉に鷹也は言った。

「あの長かった髪を切ったからじゃないか?大人っぽくなったけどな」

「痩せてしまって、きっと老けて見えるんだわ。心労でしわもできてるのかもしれない。はあ……」

 鷹也は芙蓉をひょいと膝の上に抱き上げた。
< 83 / 112 >

この作品をシェア

pagetop