迷路の先には君がいた
スワンホテルはこの四年で沢山の新規のお客様を獲得した。代わりに以前のような特別感のあるホテルではなくなりつつあった。
芙蓉が戻って最初に手を付けたのがそのことだった。
お得意様は、変わらないことを求める。間口が広がったとしても、広げすぎず、大事なことは維持する。
自分がオーナーして姿をようやく見せられるようになった。
芙蓉はこれを機に思い切って古くなったアメニティーを数ランク上にして、制服やロゴのデザインも変えてみるつもりだった。
膝の上の芙蓉にいたずらをしていた鷹也の手をつねり、芙蓉は真面目に聞いた。