迷路の先には君がいた

「言っておいた方が彼女も決断できる。今後は彼女だけだろうな」

「当たり前だ。じゃあな、父さん。それと芙蓉。これは受け取れないと何度も言ってるだろ」

 机の上の小切手を綺麗に畳んで芙蓉のバッグに入れてしまう。

 最近は彼のデスクの引き出しにさりげなく入れてみたり、頑張って甘えてお願いしたり……お金を返すためあらゆることをした。

 彼は受け取らず、代わりに甘いお仕置きをするのだ。

 ふたりは部屋を出た。

「芙蓉は俺が本当に好きなんだな。出張前にあれだけ念入りにお仕置きしたというのに……金を返そうとしなくても素直に甘えてくれれば可愛がるよ」
< 96 / 112 >

この作品をシェア

pagetop