突然シンデレラ~王子様は実在しました~
 新郎の腕に手を添えて、チャペルから一歩外に出ると、階段の下にはたくさんの人が集まっている。宇田川商事と宇田川物産の関係者が、来てくれているのだ。

 その中に、私のアルバイト先のデザイン事務所の人達と、カフェの店長の姿があって驚く。私が招待したのではない。友達も招待していないので、私の関係者は親戚だけだと思っていた。

 この状況で、知っている人を見ると安心するし、純粋に嬉しい。

 でも、誰が招待してくれたのだろう?

 疑問に思っても、確認するすべもなく、スケジュールは詰まっている。この後は、ブーケトスが行われるのだ。その中には、まだ鬼の形相の妹の姿も見える。そこは、私の場所よと言わんばかりだ。

「それでは、新婦希々様より、ブーケトスを行います。皆様ご準備はよろしいでしょうか。では、どうぞ」

 司会者の合図を聞いて、後ろ向きに大きく投げた。もちろん、妹のいないところを狙って……

 偶然にも、デザイン事務所の先輩が持っていて、幸せな気持ちになる。
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