突然シンデレラ~王子様は実在しました~
シンデレラの始まり
 無事に披露宴が終わって、控室に戻って来た。

 私の両親は、宇田川商事との今後のお付き合いも考えて、なんとか最後まで大人しくしていたのだと予想できる。ところが妹は、途中で会場を後にしていた。妹の性格なら、宇田川商事の招待客に興味を示しそうなものだけれど、雪哉さんのことがよっぽど悔しかったのだろう。

「希々、くれぐれも宇田川家にご迷惑をお掛けするなよ」
「本当に……。はぁ、蘭々が可哀想だわ」

 蘭々が可哀想? 母は何を言っているのだろうか。縁談を押しつけられたのは私だ。もう、何があっても私と両親、特に母とは分かり合えないのだと実感する。

「今までありがとうございました。お元気で」

 何があっても実家へは二度と戻ることはない。

ーーコンコン

「はい」

ーーカチャ

「着替えは終わったか?」
「はい。ちょうど両親にも挨拶を終えたところです」
「そうか」
「ふつつかな娘ですが、何卒よろしくお願いいたします」
「希々さんのことはお任せ下さい。ふつつかな妹の方をこれからも大事にするといい」
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