突然シンデレラ~王子様は実在しました~
 式が始まる前の不安が嘘のように、晴れやかな気持ちで会場を後にする。

 政略結婚で顔を合わせることのないままだったので、新婚旅行も決まっていなければ、今後のことは何も決まっていない。

「どうした? 何か不安があるのか?」

 雪哉さんの運転で新居に向かっている途中に、私は考えごとをして黙り込んでしまっていた。説明をするまでもなく、超高級外車を運転する王子様が隣にいる。

「いえ……」
「遠慮はなしだ。お互い、まだまだ知らないことばかりなんだから、思ったことは口に出していこう」
「はい。まだ、夢のようで……。正直、戸惑いばかりです」
「それはそうだ。しゃべり方も、カフェの方が希々らしくていい。すぐにとは言わないが、宇田川は関係なく、夫婦として接してくれ」
「努力します!」
「頑張りすぎなくていいぞ。それで? 一番気になってることはなんだ?」

 雪哉さんは、何でもお見通しのようだ。せっかく歩み寄ってくれているのだから、私も素直に伝えるべきなのだろう。
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