突然シンデレラ~王子様は実在しました~
 政略結婚で、色々と諦めなければならないと思っていたけれど、諦めるどころか応援してくれている。

「恭二から専門学校卒業後に、社員で働かないかって言われなかったか?」
「恭二って、室田所長?」
「そうだ。俺とは関係なく、希々の才能を認めていたから」
「言われたかも……。ちょうど結婚の話が出ていて、正直それどころではなかったから」
「ははっ、タイミングが悪かったな。これからも、恭二のところで働いたらいい」
「本当ですか‼」

 何もかも順調な展開に、涙が溢れてきた。幸せ過ぎて恐いと思ってしまう。泣いている私を、雪哉さんが優しく抱きしめてくれたのだ。

「真面目なところも、頑張っているところも、そして可愛いところも、全部含めて俺は希々に惚れている」

 雪哉さんの言葉の一つ一つが誠実で、私を素直にさせてくれる。

「正直、結婚式当日まで不安で、現実味がなくて……。結婚が嫌というよりも、恋愛経験もない私でいいのか、本当は仕事を続けたいとか悩んでたんです」
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