突然シンデレラ~王子様は実在しました~
「突然だったしな。希々には申し訳ないが、母親と妹に邪魔されたくなかったんだ」
「そうですよね。雪哉さんのことを前以て知っていたら、大変なことになっていましたね」
「でも、もう家族に邪魔はされないはずだ。でも……」
「はい……」

 何かを言い淀んでいる雪哉さんに不安になる。

「希々が宇田川と結婚したからと言って、父親の立場が保証されたわけではない。このまま業績が改善されなければ、いずれ社長を外すことになる」

 申し訳なさそうに言われたが、当たり前の事だ。ただ父の性格上、すでに安泰だと思っていそうで恐い。

「経営のことはわかりませんが、雪哉さんの言っていることが正しいのはわかります。私のことは気にしないで下さい」
「ああ、もし何か困ったことがあれば言ってくれ」
「はい」
「暗い話はこれくらいにして、新婚生活を始めようじゃないか」
「ふふっ」

 突然の開会宣言のような始まりに思わず笑ってしまった。

「笑っていられるのも今だけだぞ。まずは一緒に風呂へ入るか?」
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