突然シンデレラ~王子様は実在しました~
「ええっ⁉ それはちょっと」

 焦っている私を見て笑っている雪哉さんを睨みつける。初心者の私をからかって楽しんでいるのだ。

「くくっ、初日だからしょうがない。でも、寝室は今日から一緒だから」
「ええっ⁉」
「拒否権はないぞ」

 この後、広いマンションの中を一部屋ずつ案内してもらったけれど、私の部屋はあるもののベッドはなく、寝室には大きなベッドが置かれていた。誓いのキスが初めてだった私はどうなるのだろう。

 悩んでいても時間は進むもので、交代でお風呂に入ったらあとは寝るだけになってしまった。実家から持ってきた慣れ親しんだパジャマ姿の私と、シルクのパジャマを着た雪哉さん。あまりにもギャップがあって、恥かしくなる。そんな私の姿を、目を細めている彼は、今何を思っているのだろうか。

「さあ、休もうか。申しわけないが、明日も仕事に出るんだ」
「はい。私も、事務所に顔を出して来ます」
「そうか。夜は外で食事をしよう」
「わかりました」
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