突然シンデレラ~王子様は実在しました~
 ベッドに並んで寝転ぶと、ドキドキと胸が高鳴り緊張で眠れそうにない。そんな私をよそに、雪哉さんは余裕な笑みを浮かべてこちらを見ている。

「キスしてもいいか?」
「へえっ⁉ キ、キス⁉」
「ああ、今日のところはキスだけで我慢する」
「はいい⁇」

 キスだけで我慢ってことは、それ以上のこともしたいってことで、ど、ど、どうしたらいいのだろう……

「ははっ、そんなに緊張されたら俺まで緊張するだろう?」

 そんなことを言っている割には、余裕な表情の雪哉さんが恨めしい。しかも、優しい表情で見つめられると、身体が火照ってくる。私が固まっている間に、雪哉さんの顔が目の前まで迫っていて、優しく唇が合わさった。

 触れるだけの誓いのキスとは違って、角度を変えて触れ合う。息をするために少し口を開いた私の隙間に、雪哉さんの舌が差し入れられた。舌が絶妙な動きで私の口内を動き回る。

「ふぁあ……」

 私の意思とは関係なく声が漏れた。頭が真っ白になって何も考えられない。

 結婚式の疲れと緊張の連続で、私はいつの間にか眠りについていたーー
 
< 26 / 58 >

この作品をシェア

pagetop