突然シンデレラ～王子様は実在しました～

「そういえば、恭二から連絡があった」
「はい。正式に雇っていただけることに」
「良かったな」
「ありがとうございます」
「それは、希々が頑張って結果だ」
「嬉しいです。母に嫌味を言われても、夢を諦めなくて良かった……」
「……」

　私の言葉に雪哉さんが黙り込んでしまった。

「すみません。嫌な話をしてしまいました」
「いや、ある程度は把握しているから。でも実際に希々の口から聞くと腹が立つな」

　私のことを思って怒ってくれるだけで救われる。

「もう、終わったことです」
「そうだな。俺達は新しい道を歩み出したんだ。そろそろ、夫婦らしく敬語もなくしてほしい」
「え……。うん。努力はするけど、すぐには無理だと……」

　雪哉さんが望むことは、私もできるだけ歩み寄りたい。

　私の中では、実家との関係は完全に幕を閉じていた。今頃、母と妹は私を追い出せて、せいせいしているに違いないのだから……