突然シンデレラ~王子様は実在しました~
「ンンッ、アアッ」
「ヒャアッ」
「アアンッ」

 自分の声とは思えない恥ずかしい声が、部屋の中で響き渡る。初心者の私を気遣い、時間を掛けてくれているのだ。雪哉さんの表情も、いつもの王子様とは違って獲物を狙うケモノのように鋭い。

 誰にも触れられたことのない所まで、暴かれて羞恥心が襲う。

 王子の手によって、シンデレラは大人の階段をまた一歩上ったのだ。

 最後は、力尽きて眠りについた。今まで経験したことのない痛みと、求められた喜びが身体を支配している。目覚めた時に、隣に愛する人が眠っている幸福感も堪らないのだ。

 人肌の温もりを知り、雪哉さんのいない生活は考えられなくなっている。

 夫婦としての関係も、また一歩前進した。

 翌朝目覚めた時、優しく微笑む雪哉さんの姿に、更にドキドキしたのは言うまでもない……
 
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