突然シンデレラ~王子様は実在しました~
「それは俺にでも言えることで、宇田川の息子だからと言って何をしてもいいわけではないし、責任も背負っている」
「はい」

 まだまだ新婚だが、宇田川商事を背負って努力している姿を見てきた。朝早くから夜遅くまで、誰よりも努力している。

「今回、業績が改善されないから解任の話がでたが、それだけではなかった」
「え……」
「不審な金の動きがあったんだ」
「まさか」
「俺も希々の親だから信じたくなかったが、社内調査の結果、証拠も出てきた」

 家族には見向きもしないけれど、仕事一筋でプライドを持っているのだと思っていた。

 まさか犯罪を――

「父はどうなるのでしょうか……」
「額が額だけに、なかったことにはできない」
「そうですか……」

 犯罪を犯したなら、罪は償わなくてはならない。当たり前のことだが、父が素直に認めるのだろうか。

「俺が心配してるのは、希々のことだ」
「へ? 私?」
「もし、お義父さんが逮捕でもされたら、母親と妹は黙っていないだろう」
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