突然シンデレラ～王子様は実在しました～

「それはしょうがないです。それよりも、雪哉さんに迷惑を掛けませんか？　私と結婚したばかりに……」
「何を言ってるんだ！　俺は、俺の意思で希々と結婚したんだ。後悔もないし、迷惑だとも思ってない」
「雪哉さん……」

　雪哉さんの言葉に胸が熱くなる。雪哉さんの気持ちを無駄にしないためにも、私は戦う覚悟を決めた。

「くれぐれも気をつけてくれよ。何かあったらすぐに連絡してくれ」
「わかりました」

　そんな会話をした数日後――

　仕事が終わって、マンションに帰ってきた時だった。

「ねえ！」

　突然、後ろから聞き覚えのある声が聞こえてビクッとする。知らないふりをしたいけれど、そういう訳にもいかないだろう。恐る恐る振り返った。

「蘭々……。久しぶりね」

　そこには、以前と変わらない派手な服装をした化粧の濃い双子の妹が立っている。
　
「ふん！　何呑気なこと言ってるの？　うちが今どうなってるか知ってる？」
「……」
「どうにかしなさいよ！」
「そんなこと言われても……」