突然シンデレラ~王子様は実在しました~
「何のために結婚したのよ」
「ねえ、蘭々はお父さんの状況を理解してるの?」
「はあ? 当たり前じゃない。濡れ衣を着せられて、尋問を受けているわ」
「濡れ衣……」

 未だに父が犯罪を犯したとは夢にも思っていないのだろう。

「とにかく、今は家に帰れないから、泊まるところを用意して」
「はい? 何で私が?」
「何でって、家族じゃない!」
「……」

 こんな時だけ、私達は家族らしい……

 呆れて言葉も出ない。今まで、自分達が私にしてきたことは、どこにいったのだろう。

「蘭々、私はもう満島の家を出たの。あなた達家族とは関わりたくない。もう来ないで」
「はあ? ふざけてるの?」

 話の通じない妹に、これ以上どうしたらいいのかと悩んでいる時だった。

「希々!」

 焦った雪哉さんの声が聞こえたと思ったら、走ってきた勢いのまま抱きしめられたのだ。「はあはあ」と荒い息が、急いで駆けつけてくれたことを物語っている。

「テメェ、何してやがる!」

 テ、テメェ? テメェって言った?
< 54 / 58 >

この作品をシェア

pagetop