突然シンデレラ~王子様は実在しました~
「何って、困っている時に助けるのが家族でしょう?」
「俺と希々は家族だが、お前達とはもう家族ではない」
「お父さんを罠に嵌めた人がよく言うわ」
「何だと? 都合よく人のせいにしたもんだ。そのうちわかることだ」
「あっ、お母さんが希々から学費を返してもらってないって言ってたわよ」
「……」
「いくらだ?」
「250万って言ってたわ」
「じゃあ、倍の500万払ってやるから、金輪際希々に近づくな。誓約書にサインと引き換えに渡してやる」
「わかったわ」

 目先の大金に目の眩んだ妹が、足どり軽く去って行く。

「大丈夫か?」
「う、うん……。迷惑掛けてごめんなさい」
「何を言ってるんだ。俺達夫婦じゃないか」
「うん」
「あとは俺に任せておけ」
「ありがとう」

 家族とのしがらみから解放された瞬間だった。
 
< 55 / 58 >

この作品をシェア

pagetop