突然シンデレラ～王子様は実在しました～

　母にとっては、どれだけ出来が悪くても、無条件で妹を可愛がり続ける。父は仕事一筋で、子育てはすべて母任せ。母から聞く報告が真実でなくても、それが真実となるのだ。

　国内最大手の宇田川商事の子会社、宇田川物産で社長をしている父のお陰で、普通よりは少しいい暮らしができている。いい暮らしができているのは、母と妹だけであって、私には恩恵はない。

　高校も妹の子守役のように、妹のレベルで選ばれて、楽しんでいたのは蘭々だけだ。

　妹レベルの高校だから、首席で入学して、ずっと学年トップをキープ。それでも、母にとっては蘭々だけが、可愛い娘なのだ。

　もうこの頃には、母に認めてもらおうと思う気持ちもなく、一刻も早くこの家から出ることしか頭にない。大学に行きたい＝遊びたい妹とは、もう同じ道を歩むのはこりごりだ。

　現実を見つめた時に、今の私ではまだ専門的な知識もなく、社会に出ても役に立たないと考えて、専門学校への進学を決める。