EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
バーベキュー大会当日。
朝から、灼けるくらいの日差しと、時折吹く、生暖かい風。
あたしは、流れ出る汗をハンカチで拭うと、やってきた電車に乗り込んだ。
車両の中は、その汗を冷やすくらいの冷気がこもっていて、思わず肩を震わせる。
一応、日焼けには気を遣って、薄いカーディガンを羽織っているが、後は無難なシャツとデニム。
この温度は、ちょっと厳しいかも……。
土曜日の朝、そこまで人出は無いので、あたしは持っていたトートバッグを抱えて座ると、せめてもと、身体を縮こませた。
そして、あっという間に、いつもの駅。
あたしは、よいしょ、と、バッグを抱え直して改札を出た。
すると、すぐにまた、汗が流れ出る。
――うん、第二陣は、やっぱり上、着替えよう。
そんな事を思いながら歩き、すぐに見えてくる社屋の前には、数人の人影と、マイクロバスが二台。
「お、おはようございます、白山さん!」
「おはようございます、高根さん。よろしくお願いします」
勢いよく手を振る彼の元に向かうと、お互いに頭を下げる。
そして、バスの辺りで打ち合わせをしている、ライフプレジャー社、社長の吉浦さんの元に向かった。
「ああ、おはようございます、白山さん」
「おはようございます、今日明日と、よろしくお願いします」
吉浦さんは、ニッコリと笑い、数枚の紙をあたしに手渡した。
「こちらがスケジュールです。一応、高根から説明があった通りですが、念のため」
「あ、ありがとうございます」
正直、こういうものがあると助かる。
あたしは、頭を下げると、彼に尋ねた。
「あの、あたし、現地でどういった事をお手伝いすれば……」
「ああ、その時その時でお願いしますので。ただ、無理そうなら、すぐに言ってください」
「わかりました」
あたしは、緊張気味にうなづく。
他社の人間からの指示など、今まで受けた事は無いのだ。
「それと、こちらで目の届かないところに、注意を払ってもらえれば。特に、第一陣は家族連れの方が三組いらっしゃいますし」
「ハイ」
確か、営業二人と総務一人が、小さいお子さん連れだ。
火の扱いとか、親御さんの見えないところで何かあったら大事だし。
あたしは、気を引き締めて、彼にうなづいた。
そして、集合時間が近づくにつれ、周囲がざわつき出す。
「白山さん、よろしくお願いしますね」
和田原課長も参加らしく、奥様と二人で、あたしに挨拶をしてくれた。
けれど、平均的に若い世代が多く、やはり、今まで無かった企画に興味津々という雰囲気を感じたのだった。
高根さん達は、もう、いろんな準備に取り掛かっているのか、別動隊がワゴン車で先に出発して行った。
「白山さん、ひとまず、時間が近いので、参加者の出欠だけ確認してください」
「ハ、ハイ!」
吉浦さんに言われ、あたしは慌てて持っていた参加者リストを取り出す。
割り振った全員はいたので、無事出発だ。
二十分ほどでたどりついた、先日のキャンプ場は、ほぼ、貸し切り状態で、それぞれがテンション高く、いろんなレジャーを楽しんでいた。
――ああ、良かった……。
まずは、大きなトラブルも見受けられず、バーベキューが始まると、更に大きな歓声が聞こえる。
子供がはしゃいでいるからか、大人もそれにつられて笑い出していた。
そんな風景を見やり――あたしは、ほんの少しだけ、胸が痛んだ。
朝から、灼けるくらいの日差しと、時折吹く、生暖かい風。
あたしは、流れ出る汗をハンカチで拭うと、やってきた電車に乗り込んだ。
車両の中は、その汗を冷やすくらいの冷気がこもっていて、思わず肩を震わせる。
一応、日焼けには気を遣って、薄いカーディガンを羽織っているが、後は無難なシャツとデニム。
この温度は、ちょっと厳しいかも……。
土曜日の朝、そこまで人出は無いので、あたしは持っていたトートバッグを抱えて座ると、せめてもと、身体を縮こませた。
そして、あっという間に、いつもの駅。
あたしは、よいしょ、と、バッグを抱え直して改札を出た。
すると、すぐにまた、汗が流れ出る。
――うん、第二陣は、やっぱり上、着替えよう。
そんな事を思いながら歩き、すぐに見えてくる社屋の前には、数人の人影と、マイクロバスが二台。
「お、おはようございます、白山さん!」
「おはようございます、高根さん。よろしくお願いします」
勢いよく手を振る彼の元に向かうと、お互いに頭を下げる。
そして、バスの辺りで打ち合わせをしている、ライフプレジャー社、社長の吉浦さんの元に向かった。
「ああ、おはようございます、白山さん」
「おはようございます、今日明日と、よろしくお願いします」
吉浦さんは、ニッコリと笑い、数枚の紙をあたしに手渡した。
「こちらがスケジュールです。一応、高根から説明があった通りですが、念のため」
「あ、ありがとうございます」
正直、こういうものがあると助かる。
あたしは、頭を下げると、彼に尋ねた。
「あの、あたし、現地でどういった事をお手伝いすれば……」
「ああ、その時その時でお願いしますので。ただ、無理そうなら、すぐに言ってください」
「わかりました」
あたしは、緊張気味にうなづく。
他社の人間からの指示など、今まで受けた事は無いのだ。
「それと、こちらで目の届かないところに、注意を払ってもらえれば。特に、第一陣は家族連れの方が三組いらっしゃいますし」
「ハイ」
確か、営業二人と総務一人が、小さいお子さん連れだ。
火の扱いとか、親御さんの見えないところで何かあったら大事だし。
あたしは、気を引き締めて、彼にうなづいた。
そして、集合時間が近づくにつれ、周囲がざわつき出す。
「白山さん、よろしくお願いしますね」
和田原課長も参加らしく、奥様と二人で、あたしに挨拶をしてくれた。
けれど、平均的に若い世代が多く、やはり、今まで無かった企画に興味津々という雰囲気を感じたのだった。
高根さん達は、もう、いろんな準備に取り掛かっているのか、別動隊がワゴン車で先に出発して行った。
「白山さん、ひとまず、時間が近いので、参加者の出欠だけ確認してください」
「ハ、ハイ!」
吉浦さんに言われ、あたしは慌てて持っていた参加者リストを取り出す。
割り振った全員はいたので、無事出発だ。
二十分ほどでたどりついた、先日のキャンプ場は、ほぼ、貸し切り状態で、それぞれがテンション高く、いろんなレジャーを楽しんでいた。
――ああ、良かった……。
まずは、大きなトラブルも見受けられず、バーベキューが始まると、更に大きな歓声が聞こえる。
子供がはしゃいでいるからか、大人もそれにつられて笑い出していた。
そんな風景を見やり――あたしは、ほんの少しだけ、胸が痛んだ。