EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
不意に、枕元に置きっぱなしのスマホが震え、見やれば、舞子からメッセージ。
――アンタ、いっそのコト、アタシ達と一緒に式挙げる?
目を丸くして、あたしは、思わずスマホを両手で持つ。
――どういう事?
そう返せば、すぐに着信になった。
『そっか。アンタ、今日、代休だったのよね』
「う、うん。……ていうか、どういう……」
『アキが言ってたんだけどさ……アンタのコトだから、式も挙げずに、婚姻届だけ出しておしまいにしそうだって』
痛いところを突かれ、あたしは口ごもる。
『……黒川さんはともかく、アンタは、式に親戚も呼ぶ気無いだろうし。……だったら、アタシ達と一緒にする?』
「い、一緒って……」
『今見てる式場、友人と一緒に、式だけ挙げるってできるらしいの。招待客無しで、お互いに祝福し合うってカンジで……まあ、プラン的には無いんだけど、聞いたらそういう特殊パターンもあるって言われてさ』
あたしは、少しの間、口を閉ざした。
――……でも、あたしは……。
その気持ちに気づいたのか、舞子は苦笑い気味に言った。
『まあ、そういうトコもあるからさ。……最初から、あきらめないでよね』
「舞子」
『それに、アタシが一番、アンタのウェディングドレス、見たいんだからさ』
「……もう」
何なら、親代わりのような舞子は、まるで、娘に言うような事を言って笑った。
「……ありがと。……でも、まだ、話が出たばかりだから……」
『わかってるわよ。たった一か月の交際で結婚して、すぐにバツが付いたら大事じゃない』
よく考えなさいよ、と、言い残し、舞子は電話を終えた。
あたしは、そのまま、スマホをベッドに放ると、バタリと倒れ込む。
――……結婚するってコトは……やっぱり、全部伝えないとなんだよね……。
お互いに秘密を持ったままの生活が、上手くいくとは到底思えない。
でも、事実を知った朝日さんが、どんな反応を返すのか――それだけが、怖かった。
ほとんど昼食のような朝食を終えると、あたしは、大きく伸びをする。
こんな緩い生活、自分じゃない気がするけれど、朝日さんは出勤前にほとんどの家事を終えてしまうので、正直、やる事も少ないのだ。
――まったく、あの男は。
仕事も家事も卒なくこなしてんじゃないわよ。
あたしのお株を奪うんじゃない。
手持ち無沙汰感が否めず、でも、テレビを観る気も起きず。
冷蔵庫を眺め、簡単に夕飯のメニューを考えると、あたしは、気晴らしに外に出ようかと思い、支度を始める。
けれど、洗面所の鏡に写った自分を見て――断念した。
首筋にも、鎖骨にも、腕にも――そこかしこに赤い痕。
顔を見れば、この前言われたヤツなんだろうか――自分でもわかるくらいに、憔悴したような表情で――その場にへたり込んでしまった。
……こんなんじゃ、外に出られる訳無いっ‼
「……朝日さんの、バカッ‼……エロオヤジ‼‼」
彼が、一日ウチにいろ、と言った意味がようやくわかり、あたしは、思わず、叫んでしまった。
――アンタ、いっそのコト、アタシ達と一緒に式挙げる?
目を丸くして、あたしは、思わずスマホを両手で持つ。
――どういう事?
そう返せば、すぐに着信になった。
『そっか。アンタ、今日、代休だったのよね』
「う、うん。……ていうか、どういう……」
『アキが言ってたんだけどさ……アンタのコトだから、式も挙げずに、婚姻届だけ出しておしまいにしそうだって』
痛いところを突かれ、あたしは口ごもる。
『……黒川さんはともかく、アンタは、式に親戚も呼ぶ気無いだろうし。……だったら、アタシ達と一緒にする?』
「い、一緒って……」
『今見てる式場、友人と一緒に、式だけ挙げるってできるらしいの。招待客無しで、お互いに祝福し合うってカンジで……まあ、プラン的には無いんだけど、聞いたらそういう特殊パターンもあるって言われてさ』
あたしは、少しの間、口を閉ざした。
――……でも、あたしは……。
その気持ちに気づいたのか、舞子は苦笑い気味に言った。
『まあ、そういうトコもあるからさ。……最初から、あきらめないでよね』
「舞子」
『それに、アタシが一番、アンタのウェディングドレス、見たいんだからさ』
「……もう」
何なら、親代わりのような舞子は、まるで、娘に言うような事を言って笑った。
「……ありがと。……でも、まだ、話が出たばかりだから……」
『わかってるわよ。たった一か月の交際で結婚して、すぐにバツが付いたら大事じゃない』
よく考えなさいよ、と、言い残し、舞子は電話を終えた。
あたしは、そのまま、スマホをベッドに放ると、バタリと倒れ込む。
――……結婚するってコトは……やっぱり、全部伝えないとなんだよね……。
お互いに秘密を持ったままの生活が、上手くいくとは到底思えない。
でも、事実を知った朝日さんが、どんな反応を返すのか――それだけが、怖かった。
ほとんど昼食のような朝食を終えると、あたしは、大きく伸びをする。
こんな緩い生活、自分じゃない気がするけれど、朝日さんは出勤前にほとんどの家事を終えてしまうので、正直、やる事も少ないのだ。
――まったく、あの男は。
仕事も家事も卒なくこなしてんじゃないわよ。
あたしのお株を奪うんじゃない。
手持ち無沙汰感が否めず、でも、テレビを観る気も起きず。
冷蔵庫を眺め、簡単に夕飯のメニューを考えると、あたしは、気晴らしに外に出ようかと思い、支度を始める。
けれど、洗面所の鏡に写った自分を見て――断念した。
首筋にも、鎖骨にも、腕にも――そこかしこに赤い痕。
顔を見れば、この前言われたヤツなんだろうか――自分でもわかるくらいに、憔悴したような表情で――その場にへたり込んでしまった。
……こんなんじゃ、外に出られる訳無いっ‼
「……朝日さんの、バカッ‼……エロオヤジ‼‼」
彼が、一日ウチにいろ、と言った意味がようやくわかり、あたしは、思わず、叫んでしまった。