EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
ぼんやりと、目が開く。
まるで、自動で開いたみたいに。
ピ、ピ、と機械的なリズムが聞こえる。
どこかで、誰かが話す声が聞こえるけれど、何を言っているのかわからない。
――……あたしは……。
そう思ったが、次には、意識は再び沈んでいった。
次に目が開き、今度は、まぶしいくらいの光に眉を寄せる。
機械の線が見え、あたしは、ゆっくりと周囲を見渡した。
――どこ……?
どうやら、いろんなものに繋がれているようだ。
一体、何の機械なんだろう。
「白山さん、わかりますか」
すると、軽く肩をたたかれ、あたしは、そちらに顔を向ける。
白衣を着た、壮年の男性が見下ろしていたので、ようやく、ここが病院で、この人は医者なのだと気づいた。
かすかにうなづくと、すぐに、周囲がざわつき始める。
それが何だかうるさくて――あたしは、また、瞳を閉じた。
再び浮上した意識に、目を開く。
先ほどよりも、大きく開き、そして、すぐに見えた端正な顔に息をのむ。
その瞬間、胸が引き裂かれるような痛みを感じ、眉を寄せた。
「美里っ!大丈夫かっ……⁉」
「……ぁ……」
――朝日さん。
そう言おうとしたけれど、声が出ない。
「……まだ、しゃべるな。手術が終わってから、お前、三日も目が覚めなかったんだぞ」
――え。
あたしが、問いかけるように彼を見やると、不意に左手が包まれた。
「――……オレのせいで……ごめんな……」
……何、それ。
朝日さんは、言葉を振り絞るように出す。
「……お前が刺された時……何にもできなかった。……ただ、お前の名前を呼ぶ事しか――……」
ポツリと水滴が頬に当たる。
見やれば、彼の瞳から、次から次へと涙が零れ落ちていた。
「情けないよな……。……死んだらどうしよう――それだけしか考えられなかったんだ……」
「……ぁ……さひ……さ……」
「しゃべるな」
「……で……も」
彼は、涙をそのままに、あたしの手を両手で握り締めた。
「……もし、お前が死んだら――オレも死ぬ覚悟はあった」
「な……に……バカ言って……」
ようやく、少しだけ言葉が発せられるようになり、あたしは彼に言った。
「当たり前だろ。……オレの代わりに刺されて……オレだけ生き残って、のうのうと生きていられると思うか」
「バ……カッ!」
そしたら――あたしは、刺され損じゃない。
アンタを助けるために、間に入ったんだから。
そう思い返したら、ようやく記憶がよみがえってきた。
振りかざした彼女の手にナイフが握られていたのが見えたら――もう、後は、反射だった。
――朝日さんを、死なせたくない。
思ったのは――それだけだ。
そのためなら……あたしは、どうなったって良い。
最後に目にしたのは、鈍い光を放った切っ先。
でも――持っていた彼女の顔は、驚きと絶望が入り混じっていて。
……もしかしたら……本気じゃないのかも。
でも、もう、遅かった。
二人の間に割って入ったあたしの、胸の真ん中に刺さったナイフ。
それは、勢いが良くて――止める事は、かなわなかったようだ。
手を離した彼女が、呆然としたまま、あたしを見ているのがわかった。
全身の力が抜けていく中――支えてくれた力強い腕。
――……ああ、良かった。
……無事だったんだね……。
そう認識できたら、急に意識が遠のいていったんだ……。
まるで、自動で開いたみたいに。
ピ、ピ、と機械的なリズムが聞こえる。
どこかで、誰かが話す声が聞こえるけれど、何を言っているのかわからない。
――……あたしは……。
そう思ったが、次には、意識は再び沈んでいった。
次に目が開き、今度は、まぶしいくらいの光に眉を寄せる。
機械の線が見え、あたしは、ゆっくりと周囲を見渡した。
――どこ……?
どうやら、いろんなものに繋がれているようだ。
一体、何の機械なんだろう。
「白山さん、わかりますか」
すると、軽く肩をたたかれ、あたしは、そちらに顔を向ける。
白衣を着た、壮年の男性が見下ろしていたので、ようやく、ここが病院で、この人は医者なのだと気づいた。
かすかにうなづくと、すぐに、周囲がざわつき始める。
それが何だかうるさくて――あたしは、また、瞳を閉じた。
再び浮上した意識に、目を開く。
先ほどよりも、大きく開き、そして、すぐに見えた端正な顔に息をのむ。
その瞬間、胸が引き裂かれるような痛みを感じ、眉を寄せた。
「美里っ!大丈夫かっ……⁉」
「……ぁ……」
――朝日さん。
そう言おうとしたけれど、声が出ない。
「……まだ、しゃべるな。手術が終わってから、お前、三日も目が覚めなかったんだぞ」
――え。
あたしが、問いかけるように彼を見やると、不意に左手が包まれた。
「――……オレのせいで……ごめんな……」
……何、それ。
朝日さんは、言葉を振り絞るように出す。
「……お前が刺された時……何にもできなかった。……ただ、お前の名前を呼ぶ事しか――……」
ポツリと水滴が頬に当たる。
見やれば、彼の瞳から、次から次へと涙が零れ落ちていた。
「情けないよな……。……死んだらどうしよう――それだけしか考えられなかったんだ……」
「……ぁ……さひ……さ……」
「しゃべるな」
「……で……も」
彼は、涙をそのままに、あたしの手を両手で握り締めた。
「……もし、お前が死んだら――オレも死ぬ覚悟はあった」
「な……に……バカ言って……」
ようやく、少しだけ言葉が発せられるようになり、あたしは彼に言った。
「当たり前だろ。……オレの代わりに刺されて……オレだけ生き残って、のうのうと生きていられると思うか」
「バ……カッ!」
そしたら――あたしは、刺され損じゃない。
アンタを助けるために、間に入ったんだから。
そう思い返したら、ようやく記憶がよみがえってきた。
振りかざした彼女の手にナイフが握られていたのが見えたら――もう、後は、反射だった。
――朝日さんを、死なせたくない。
思ったのは――それだけだ。
そのためなら……あたしは、どうなったって良い。
最後に目にしたのは、鈍い光を放った切っ先。
でも――持っていた彼女の顔は、驚きと絶望が入り混じっていて。
……もしかしたら……本気じゃないのかも。
でも、もう、遅かった。
二人の間に割って入ったあたしの、胸の真ん中に刺さったナイフ。
それは、勢いが良くて――止める事は、かなわなかったようだ。
手を離した彼女が、呆然としたまま、あたしを見ているのがわかった。
全身の力が抜けていく中――支えてくれた力強い腕。
――……ああ、良かった。
……無事だったんだね……。
そう認識できたら、急に意識が遠のいていったんだ……。