EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
「――罪悪感や責任感、同情……いろんなものが入り混じった視線。――……一生、そんなもの向けられるくらいなら、あたしは何もいらないの!」
それだけ言うと、あたしは彼に背を向ける。
でも、早く歩き出したいのに――足が動いてくれないのは、何でよ。
その間に、腕が掴まれた。
「――離してよ!」
「……お前、何もわかってないな」
「……え?」
不意打ちの言葉に、振り返ってしまう。
すると、頬に手が触れ、顔を上げさせられた。
「……確かに……いろんな感情は、ずっと、あった」
「だったら……」
「――……だが、それ以上に、後ろ暗い感情があるのに、気づいてないだろ」
「……え?」
――……何……言って……?
朝日さんは、口元を上げる。
「――こじらせてる自覚はあるからな」
「何を今さら」
あたしが眉を寄せると、彼は苦笑いで続けた。
「……これで――お前の中にオレは、一生、生き続けられる。……もし、お前が離れようとしても……その傷が、思い出させるはずだ。オレを守ってくれた時の気持ちを」
そう言って、あたしの胸の真ん中を指さした。
――そこには……刺された時の傷が、数センチ程残っている。
そして、それは――彼を守り切ったという証。
あたしにとっては、誇りでもある、それ。
――……水沢さんと違うのは――……もう、一生、これ以上、傷は小さくならないという事だ。
「――そう思ったら……うれしくてな」
「……な……」
「――でも、そんな事、お前に言えるはずも無いだろう。バレたくなくて、必死だったんだぞ」
見上げた彼の表情は――確かに、うれしそうで……。
そして、あたしの手を取る。
「上手く隠せていたと思ったんだが――それで、お前が離れていくというのなら、いっそ、全部バラしてやろうか」
「ま、まだ、何かあるの⁉」
あたしは、思わずギョッとして、朝日さんを見上げた。
「そもそも、オレが、お前を水沢の代わりにしたと言うが――前提が違う」
「え?」
「――言っただろ?一目惚れだって」
あたしは、瞬間、ポカンと口が開いてしまった。
――……そう、言えば……。
「お前の事情なんて、知る由も無い。……ただ、見つけた瞬間、目が離せなかった。――もう一度会えたら……絶対に、自分のものにしたい。そう、思っただけなんだよ」
少々、バツが悪そうに、朝日さんは続けた。
「……まあ、一歩間違えれば、ストーカーと言われても仕方ないんだが……あの後、ここで、しばらくお前の事、探してたんだ」
「――はぁ⁉」
あっけにとられたあたしは、もう、動く気も無かった。
――……何、それ。
「……バッカみたい……」
眉を寄せた彼から視線を逸らす。
――……何で……信じきれなかったんだろう……。
――こんなに――あたしを想ってくれている人を……。
それだけ言うと、あたしは彼に背を向ける。
でも、早く歩き出したいのに――足が動いてくれないのは、何でよ。
その間に、腕が掴まれた。
「――離してよ!」
「……お前、何もわかってないな」
「……え?」
不意打ちの言葉に、振り返ってしまう。
すると、頬に手が触れ、顔を上げさせられた。
「……確かに……いろんな感情は、ずっと、あった」
「だったら……」
「――……だが、それ以上に、後ろ暗い感情があるのに、気づいてないだろ」
「……え?」
――……何……言って……?
朝日さんは、口元を上げる。
「――こじらせてる自覚はあるからな」
「何を今さら」
あたしが眉を寄せると、彼は苦笑いで続けた。
「……これで――お前の中にオレは、一生、生き続けられる。……もし、お前が離れようとしても……その傷が、思い出させるはずだ。オレを守ってくれた時の気持ちを」
そう言って、あたしの胸の真ん中を指さした。
――そこには……刺された時の傷が、数センチ程残っている。
そして、それは――彼を守り切ったという証。
あたしにとっては、誇りでもある、それ。
――……水沢さんと違うのは――……もう、一生、これ以上、傷は小さくならないという事だ。
「――そう思ったら……うれしくてな」
「……な……」
「――でも、そんな事、お前に言えるはずも無いだろう。バレたくなくて、必死だったんだぞ」
見上げた彼の表情は――確かに、うれしそうで……。
そして、あたしの手を取る。
「上手く隠せていたと思ったんだが――それで、お前が離れていくというのなら、いっそ、全部バラしてやろうか」
「ま、まだ、何かあるの⁉」
あたしは、思わずギョッとして、朝日さんを見上げた。
「そもそも、オレが、お前を水沢の代わりにしたと言うが――前提が違う」
「え?」
「――言っただろ?一目惚れだって」
あたしは、瞬間、ポカンと口が開いてしまった。
――……そう、言えば……。
「お前の事情なんて、知る由も無い。……ただ、見つけた瞬間、目が離せなかった。――もう一度会えたら……絶対に、自分のものにしたい。そう、思っただけなんだよ」
少々、バツが悪そうに、朝日さんは続けた。
「……まあ、一歩間違えれば、ストーカーと言われても仕方ないんだが……あの後、ここで、しばらくお前の事、探してたんだ」
「――はぁ⁉」
あっけにとられたあたしは、もう、動く気も無かった。
――……何、それ。
「……バッカみたい……」
眉を寄せた彼から視線を逸らす。
――……何で……信じきれなかったんだろう……。
――こんなに――あたしを想ってくれている人を……。