EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
朝日さんは、あたしを自分に向けると、そっと頬を撫でた。
その温もりに泣きたくなる。
「――だから、会社で会った時、もう決めていた。……絶対に、お前と結婚するって」
「……何、先走ってんのよ……」
思わず突っ込むが、しょうがない。
言葉とは裏腹に、口元は上がり――その手に自分の手を重ねた。
重いとは思ってたけど……最初からだったなんて。
朝日さんは、あたしに、その端正な顔を近づけ、内緒話をするようにして言う。
「……付き合ってからは――もう、いつプロポーズしようか――そればっかりだったんだぞ」
「重い!」
――反射で口から出てしまった。
けれど、彼は楽しそうに、口元を上げる。
「ああ、重いぞ。――だから、もう、あきらめて、オレと一生一緒にいろよ」
「逆に怖いわ!」
「そうか?一途と言って欲しいんだが」
「許される範囲を超えているわよ!」
「……じゃあ、どうすれば、戻って来てくれる?」
あたしは、無意識に顔がひきつり始めた。
――……ああ、もう、違う方向でダメだわ、コイツ!
あたしが、離れるなんて――これっぽちも思ってないじゃない!
「――なあ……もう、良いだろ?……帰ろう――オレ達の家に」
「良くない!」
その端正な顔を使って、あたしを懐柔しようとのぞき込む朝日さんの身体を、思い切り突き飛ばした。
「美里」
「――……そこまで言うならっ……最初っから、やり直せ!」
「え」
「もう、あたしは、誰もいらないって決めたの!それを覆さなきゃ、結婚どころか、恋愛すらしないわよ!」
すると、彼は、あっけにとられた表情であたしを見つめ、そして、笑い出した。
「何がおかしいのよ!」
「……いや……ここまできて、意地っ張りが顔を出すとはな」
「うるさいわね!」
朝日さんは、楽しそうに続けた。
「――……まあ、そんなところも好きだぞ」
「……っ……!」
「いや、もう、全部好きだけどな」
そう言うと、彼はあたしの左手を取る。
「――実は、指輪は買ってあるんだ」
「……へ??」
「婚姻届は、最初のうちに準備してあるしな」
「――……ちょっ……何言い出して……」
あたしの顔は、引きつったまま戻ってくれない。
――重いにも程があるわ、この男!
「あ、あの、朝日さん……一体、どういうつもり……」
恐る恐る尋ねると、彼は、ニッコリと、余所行きの顔で微笑み返した。
「最初から、というなら――最短でゴールを目指す事にする」
「……へ?」
「まずは――明日は、会社に来い。辞表は提出していないから、お前の仕事はみんなで振り分けてある。身体が本調子でないなら、少しの間、短時間勤務でかまわん」
突然の仕事モードに、あたしは、キョトンとしてしまった。
彼の意図はわからないけれど――今、解放されるのなら、と、あたしは、首を縦に振ってしまったのだった。
その温もりに泣きたくなる。
「――だから、会社で会った時、もう決めていた。……絶対に、お前と結婚するって」
「……何、先走ってんのよ……」
思わず突っ込むが、しょうがない。
言葉とは裏腹に、口元は上がり――その手に自分の手を重ねた。
重いとは思ってたけど……最初からだったなんて。
朝日さんは、あたしに、その端正な顔を近づけ、内緒話をするようにして言う。
「……付き合ってからは――もう、いつプロポーズしようか――そればっかりだったんだぞ」
「重い!」
――反射で口から出てしまった。
けれど、彼は楽しそうに、口元を上げる。
「ああ、重いぞ。――だから、もう、あきらめて、オレと一生一緒にいろよ」
「逆に怖いわ!」
「そうか?一途と言って欲しいんだが」
「許される範囲を超えているわよ!」
「……じゃあ、どうすれば、戻って来てくれる?」
あたしは、無意識に顔がひきつり始めた。
――……ああ、もう、違う方向でダメだわ、コイツ!
あたしが、離れるなんて――これっぽちも思ってないじゃない!
「――なあ……もう、良いだろ?……帰ろう――オレ達の家に」
「良くない!」
その端正な顔を使って、あたしを懐柔しようとのぞき込む朝日さんの身体を、思い切り突き飛ばした。
「美里」
「――……そこまで言うならっ……最初っから、やり直せ!」
「え」
「もう、あたしは、誰もいらないって決めたの!それを覆さなきゃ、結婚どころか、恋愛すらしないわよ!」
すると、彼は、あっけにとられた表情であたしを見つめ、そして、笑い出した。
「何がおかしいのよ!」
「……いや……ここまできて、意地っ張りが顔を出すとはな」
「うるさいわね!」
朝日さんは、楽しそうに続けた。
「――……まあ、そんなところも好きだぞ」
「……っ……!」
「いや、もう、全部好きだけどな」
そう言うと、彼はあたしの左手を取る。
「――実は、指輪は買ってあるんだ」
「……へ??」
「婚姻届は、最初のうちに準備してあるしな」
「――……ちょっ……何言い出して……」
あたしの顔は、引きつったまま戻ってくれない。
――重いにも程があるわ、この男!
「あ、あの、朝日さん……一体、どういうつもり……」
恐る恐る尋ねると、彼は、ニッコリと、余所行きの顔で微笑み返した。
「最初から、というなら――最短でゴールを目指す事にする」
「……へ?」
「まずは――明日は、会社に来い。辞表は提出していないから、お前の仕事はみんなで振り分けてある。身体が本調子でないなら、少しの間、短時間勤務でかまわん」
突然の仕事モードに、あたしは、キョトンとしてしまった。
彼の意図はわからないけれど――今、解放されるのなら、と、あたしは、首を縦に振ってしまったのだった。