EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
final impression
「ちょっと、朝日さん!まだ、あと二人起きてるってば!」
「――大丈夫だ。まほろも光晴も、もう中学生だ。わかってるだろ」
ベッドで横になると、朝日さんが計ったように、のしかかってくる。
「それはそれで、嫌!」
「……五人目、欲しくないか?」
「何を目指してるんですか!」
「――……い、いや、悪い。……調子に乗った」
相変わらず、敬語のあたしには弱いらしい。
彼は、苦笑いで、あたしの隣に横になった。
――もう、あれから十五年も経ち、あたしは――未だに、彼と一緒にいる。
会社では、あの後、すぐに公認の仲になってしまい、逃げるどころか完全に捕らわれてしまって。
「美里?」
「……別に」
あたしは、そう言うと、そっと、彼の胸の中に収まるように抱き着いた。
「……コラ、煽ってるのか」
「――……違うわよ。――まさか、自分に、こんな未来があるなんて、思わなかったな、って」
すると、彼はあたしを、きつく抱き締める。
「……オレも、意地っ張りを口説き落とすのに、二年もかかるとは思わなかった」
「――……まあ……あたしには、いろいろあったから」
最後まで引っかかっていた両親の事を、震える声で伝えた時――朝日さんは、あっさりと言ってのけた。
――だが、お前はお前だ。
ご両親の事は残念だが――結婚をためらう理由にはならない。
思わぬ反応に、呆気にとられたあたしを、彼は笑って抱き寄せた。
――じゃあ、もう、良いよな?
うれしそうな彼に、完全に負けてしまった。
……でも、それは、嫌なものではなくて――……。
「美里」
朝日さんは、そっと、あたしの髪に顔をうずめる。
「――何よ」
「……今日は、雑誌のインタビューだったんだよな」
「そうだけど?」
「……相手は、男か?」
「女です!」
ムスリとしながら、敬語で言い返せば、彼は、慌ててあたしを離す。
「……もう、相変わらず重いわね」
「……仕方ないだろう。……まさか、お前が収納アドバイザーで引っ張りだこになるとは、想像もつかなかったんだから」
「自分で、けしかけたくせに」
立て続けに結婚、妊娠、出産。そして、一人目と二人目が年子だったのもあって、結局仕事は辞めてしまった。
その後、専業主婦になり、もう二人も授かったけれど、いつの間にか、子供から手が離れる事も増えてきて――。
自分に何も残っていないような気がして、そんな時、彼が言ったのだ。
――やっぱり、資格、取ってみたらどうだ?
昔、収納アドバイザーの資格などと言われたのを思い出し、一念発起。
彼や子供たちにサポートしてもらい、どうにか頑張ってみて――無事に合格したので、それで満足していたけれど。
――どうせなら、ネットに上げてみたらどうだ?
やり方なんてわからないし、同じようなテーマでやっている人が、星の数ほどいるような世界に飛び込むつもりも無い。
そう渋ったけれど、彼から話を聞いて乗り気になった舞子に手伝ってもらって、自分の家の収納など、一度だけと、試しに上げてみたのだ。
――結果、あれよあれよと言う間に持ち上げられてしまい、今では、出版の話も来るようになった。
「……ホント、人生、何があるか、わからないわね」
「でも、オレは幸せだが?」
「……あたしも」
素直にそう言えてしまう自分に、苦笑いが浮かぶ。
「――あ……っ!――コラ、朝日さん!」
「……ちょっとだけだから、な?」
すると、服の中に手が入ってきて、あたしは、眉を寄せる。
彼は、そのまま胸に残った傷を、愛おしそうに撫でた。
痛みは、数年でほとんど消えたけれど……そこは、別の意味で敏感になってしまった。
「……もう……また、触ってくるし……」
「――安心するんだよ。……お前が、オレのものだって証みたいでな」
「バカ言ってないの」
――……もう、とっくに、あなたのものでしょうに。
そう続ければ、朝日さんは、うれしそうにキスをしてくる。
そして、そのまま、二人、肌を合わせる……はずだった。
「二人ともー、イチャイチャするなら、ホテルにしてもらえる?」
「「……っ……‼⁉」」
部屋のドアを強めにノックされ、向こう側からは、長女の声。
二人でガバリと起き上がり、あたしは、急いで服を直すと、ごまかすようにドアを開けた。
「――大丈夫だ。まほろも光晴も、もう中学生だ。わかってるだろ」
ベッドで横になると、朝日さんが計ったように、のしかかってくる。
「それはそれで、嫌!」
「……五人目、欲しくないか?」
「何を目指してるんですか!」
「――……い、いや、悪い。……調子に乗った」
相変わらず、敬語のあたしには弱いらしい。
彼は、苦笑いで、あたしの隣に横になった。
――もう、あれから十五年も経ち、あたしは――未だに、彼と一緒にいる。
会社では、あの後、すぐに公認の仲になってしまい、逃げるどころか完全に捕らわれてしまって。
「美里?」
「……別に」
あたしは、そう言うと、そっと、彼の胸の中に収まるように抱き着いた。
「……コラ、煽ってるのか」
「――……違うわよ。――まさか、自分に、こんな未来があるなんて、思わなかったな、って」
すると、彼はあたしを、きつく抱き締める。
「……オレも、意地っ張りを口説き落とすのに、二年もかかるとは思わなかった」
「――……まあ……あたしには、いろいろあったから」
最後まで引っかかっていた両親の事を、震える声で伝えた時――朝日さんは、あっさりと言ってのけた。
――だが、お前はお前だ。
ご両親の事は残念だが――結婚をためらう理由にはならない。
思わぬ反応に、呆気にとられたあたしを、彼は笑って抱き寄せた。
――じゃあ、もう、良いよな?
うれしそうな彼に、完全に負けてしまった。
……でも、それは、嫌なものではなくて――……。
「美里」
朝日さんは、そっと、あたしの髪に顔をうずめる。
「――何よ」
「……今日は、雑誌のインタビューだったんだよな」
「そうだけど?」
「……相手は、男か?」
「女です!」
ムスリとしながら、敬語で言い返せば、彼は、慌ててあたしを離す。
「……もう、相変わらず重いわね」
「……仕方ないだろう。……まさか、お前が収納アドバイザーで引っ張りだこになるとは、想像もつかなかったんだから」
「自分で、けしかけたくせに」
立て続けに結婚、妊娠、出産。そして、一人目と二人目が年子だったのもあって、結局仕事は辞めてしまった。
その後、専業主婦になり、もう二人も授かったけれど、いつの間にか、子供から手が離れる事も増えてきて――。
自分に何も残っていないような気がして、そんな時、彼が言ったのだ。
――やっぱり、資格、取ってみたらどうだ?
昔、収納アドバイザーの資格などと言われたのを思い出し、一念発起。
彼や子供たちにサポートしてもらい、どうにか頑張ってみて――無事に合格したので、それで満足していたけれど。
――どうせなら、ネットに上げてみたらどうだ?
やり方なんてわからないし、同じようなテーマでやっている人が、星の数ほどいるような世界に飛び込むつもりも無い。
そう渋ったけれど、彼から話を聞いて乗り気になった舞子に手伝ってもらって、自分の家の収納など、一度だけと、試しに上げてみたのだ。
――結果、あれよあれよと言う間に持ち上げられてしまい、今では、出版の話も来るようになった。
「……ホント、人生、何があるか、わからないわね」
「でも、オレは幸せだが?」
「……あたしも」
素直にそう言えてしまう自分に、苦笑いが浮かぶ。
「――あ……っ!――コラ、朝日さん!」
「……ちょっとだけだから、な?」
すると、服の中に手が入ってきて、あたしは、眉を寄せる。
彼は、そのまま胸に残った傷を、愛おしそうに撫でた。
痛みは、数年でほとんど消えたけれど……そこは、別の意味で敏感になってしまった。
「……もう……また、触ってくるし……」
「――安心するんだよ。……お前が、オレのものだって証みたいでな」
「バカ言ってないの」
――……もう、とっくに、あなたのものでしょうに。
そう続ければ、朝日さんは、うれしそうにキスをしてくる。
そして、そのまま、二人、肌を合わせる……はずだった。
「二人ともー、イチャイチャするなら、ホテルにしてもらえる?」
「「……っ……‼⁉」」
部屋のドアを強めにノックされ、向こう側からは、長女の声。
二人でガバリと起き上がり、あたしは、急いで服を直すと、ごまかすようにドアを開けた。