EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
fight.6
「ちょっ……何言ってんですかっ!無理だって言ってるでしょう!」
「あそこなら、セキュリティもしっかりしてるし、駅も真ん前だ。通勤に不便は無い」
さも、良い提案だと言わんばかりの顔をされ、あたしは、額に血管が浮き出そうだ。
「あの!申し訳ありませんが、無理です!」
「巽が、家賃下げてくれると言っただろうが。そこまでキツくは無いはずだ」
「何で、アンタが決めんの!あたしの生活なんて知らないクセに‼」
ついにキレてしまい、思わずタメ口で怒鳴りつけてしまった。
毎回、毎回――この部長は、何であたしを怒らせるのよ!
「いや、でも――」
この上、何を反論する気だ、この男は‼
「あたし、同棲してた時の家賃、月十二万!衣食住、あたしが寿和の分も負担してから、貯金すらできてないの!何なら、崩してたし‼だから、正直、八万でもいっぱいいっぱいなの!」
それだけ言い切ると、肩で深呼吸する。
今、この場で、部長だのはもう忘れるコトにする!
すると、新井さんが、あたし達の間に入り、取り繕うように言った。
「で、でもさ、ここら辺の相場って、安くてもそんなくらいだし――」
「――なら、少しくらい遠くても構いません。ワンルーム、バストイレ付。五万程度、探したいんですけど」
その返しに、新井さんは、反射的に考え込む。
どうやら、職業病のように反応してしまうようだ。
だが、部長がそこに割って入った。
「――なら、五万」
「え?」
部長は、あたしを見下ろして、淡々と言った。
「――オレの家、一つ部屋が余っている。ルームシェア、月五万でどうだ」
「……へ??」
時間が止まった、と、感じたのは――人生初だった。
「い、いや、マズいだろ、朝日!未婚女性と同居って……」
すると、同じように放心していた新井さんが、我に返って慌て出す。
「だが、このまま放置していたら、白山のコトだ、ネットカフェを住処にしかねない」
「さすがに、そこまではしないわよ‼」
思わず突っ込んでしまったけれど、現状、それしか手段が思いつかないのも確かなのだ。
「――どうだ。元カレが、あきらめるまで、安全確保のためにも」
あたしを真っ直ぐに見る部長に、下心などあるはずもなく。
「で、でも……会社に何て言えば……」
「緊急避難で良いだろうが」
「……それも……どうかと……」
あたしには、まだ、そこまでの危機感は無いのだ。
確かに、寿和が別れ話を聞き入れてもらえないのも、会社に来られるのも困るけれど――きっと、すぐに他の女に移ると思う。
――……だって、あたしと同棲していても、浮気して開き直るくらいだもの。
そう、部長に言うと、思い切り顔をしかめられた。
「……だから、警戒心を持てと言うんだ」
「な、何でよ!」
「まあ、良い。で、来るのか来ないのか」
あたしは、究極の選択に、うなりながらも――悩みに悩んで、結局、うなづいてしまったのだった。
「あそこなら、セキュリティもしっかりしてるし、駅も真ん前だ。通勤に不便は無い」
さも、良い提案だと言わんばかりの顔をされ、あたしは、額に血管が浮き出そうだ。
「あの!申し訳ありませんが、無理です!」
「巽が、家賃下げてくれると言っただろうが。そこまでキツくは無いはずだ」
「何で、アンタが決めんの!あたしの生活なんて知らないクセに‼」
ついにキレてしまい、思わずタメ口で怒鳴りつけてしまった。
毎回、毎回――この部長は、何であたしを怒らせるのよ!
「いや、でも――」
この上、何を反論する気だ、この男は‼
「あたし、同棲してた時の家賃、月十二万!衣食住、あたしが寿和の分も負担してから、貯金すらできてないの!何なら、崩してたし‼だから、正直、八万でもいっぱいいっぱいなの!」
それだけ言い切ると、肩で深呼吸する。
今、この場で、部長だのはもう忘れるコトにする!
すると、新井さんが、あたし達の間に入り、取り繕うように言った。
「で、でもさ、ここら辺の相場って、安くてもそんなくらいだし――」
「――なら、少しくらい遠くても構いません。ワンルーム、バストイレ付。五万程度、探したいんですけど」
その返しに、新井さんは、反射的に考え込む。
どうやら、職業病のように反応してしまうようだ。
だが、部長がそこに割って入った。
「――なら、五万」
「え?」
部長は、あたしを見下ろして、淡々と言った。
「――オレの家、一つ部屋が余っている。ルームシェア、月五万でどうだ」
「……へ??」
時間が止まった、と、感じたのは――人生初だった。
「い、いや、マズいだろ、朝日!未婚女性と同居って……」
すると、同じように放心していた新井さんが、我に返って慌て出す。
「だが、このまま放置していたら、白山のコトだ、ネットカフェを住処にしかねない」
「さすがに、そこまではしないわよ‼」
思わず突っ込んでしまったけれど、現状、それしか手段が思いつかないのも確かなのだ。
「――どうだ。元カレが、あきらめるまで、安全確保のためにも」
あたしを真っ直ぐに見る部長に、下心などあるはずもなく。
「で、でも……会社に何て言えば……」
「緊急避難で良いだろうが」
「……それも……どうかと……」
あたしには、まだ、そこまでの危機感は無いのだ。
確かに、寿和が別れ話を聞き入れてもらえないのも、会社に来られるのも困るけれど――きっと、すぐに他の女に移ると思う。
――……だって、あたしと同棲していても、浮気して開き直るくらいだもの。
そう、部長に言うと、思い切り顔をしかめられた。
「……だから、警戒心を持てと言うんだ」
「な、何でよ!」
「まあ、良い。で、来るのか来ないのか」
あたしは、究極の選択に、うなりながらも――悩みに悩んで、結局、うなづいてしまったのだった。