EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
今日も朝から、人間ドックの日程調整。
けれど、昨日、部長から言われたようにメールを送ると、各支社や工場から返信メールがあって、先にそちらをチェックした。
確かに、希望を募った方が、振り分けは楽だった。
去年よりも、かなり早く調整は終了し、その予定表を提携している会社へ送り、ひと段落ついた。
あたしは、書類をファイルに片付け、明日予定している打ち合わせの企画書にもう一度、ゆっくりと目を通す。
データで送られてきてはいるが、画面を通してよりも、書面で確認する方が楽だし、いろいろメモもできるので、出力済みだ。
提案されているのは、地元企業がスポンサーをしている、サッカーやバスケチームの試合の優先観戦や、夏に向けてバーベキュー大会。
その他、参考資料には、四季を通していろんな季節イベントがあったり、通年で企画できるものがあった。
そして、各種優待券の発行も可能という事で、提携企業のリストを見れば、割引価格でレジャー施設を利用できたりもするらしい。
意外とバリエーションがあって、あたしは、頭を悩ませる。
一応、福利厚生とはいえ、予算というものもあるが、それはあたしの管轄ではない。
気になるものにチェックを入れ、明日、確認する項目をリストアップする。
それをファイルに片付けると、時計を見やる。
もう少し時間があったので、メールをチェックし、社員寮や借り上げ住宅の利用申請書の確認。
数件来ていたので、それを処理すると、ちょうどお昼のベルが鳴った。
「黒川部長ー。お昼、ご一緒しませんー?」
数人の女性社員に囲まれた部長を見やり、あたしはギクリとする。
――そうだ……お弁当、中身一緒じゃない!
万が一にも、気づかれたら面倒だ。
あたしは、急いで立ち上がると、持って来ていたお弁当をバッグから出して、部屋から出た。
――どうしよう。どこで食べようか……。
社食はダメだ。
あそこは、基本、利用者しか入れない。
でも、空いた部屋など、会議室くらいしか無い。
あたしは、仕方なしに、階段を上って行き、屋上手前で腰を下ろした。
――こんなトコでお昼って、学生じゃないんだから。
自嘲気味に笑みが浮かぶが、背に腹は代えられない。
そのまま、膝にお弁当を広げ、手を合わせて食べ始める。
「――……美味しい」
――何だか、悔しい。
――仕事も家事も完璧って、何よ。
出勤前に忘れ物が無いか、部屋を見渡した時、気がついてしまった。
部長は、洗濯も、あたしが起きた時には、自分の分は終わらせていたようだし、何なら、軽く床をワイパーで掃除していたようだった。
――……あたし……いらないんじゃ……。
けれど、そこまで考えて、微かに首を振った。
――”家政婦を置いている訳じゃない”。
そう言ってくれた部長の言葉は――何だか、信じていたかった。
けれど、昨日、部長から言われたようにメールを送ると、各支社や工場から返信メールがあって、先にそちらをチェックした。
確かに、希望を募った方が、振り分けは楽だった。
去年よりも、かなり早く調整は終了し、その予定表を提携している会社へ送り、ひと段落ついた。
あたしは、書類をファイルに片付け、明日予定している打ち合わせの企画書にもう一度、ゆっくりと目を通す。
データで送られてきてはいるが、画面を通してよりも、書面で確認する方が楽だし、いろいろメモもできるので、出力済みだ。
提案されているのは、地元企業がスポンサーをしている、サッカーやバスケチームの試合の優先観戦や、夏に向けてバーベキュー大会。
その他、参考資料には、四季を通していろんな季節イベントがあったり、通年で企画できるものがあった。
そして、各種優待券の発行も可能という事で、提携企業のリストを見れば、割引価格でレジャー施設を利用できたりもするらしい。
意外とバリエーションがあって、あたしは、頭を悩ませる。
一応、福利厚生とはいえ、予算というものもあるが、それはあたしの管轄ではない。
気になるものにチェックを入れ、明日、確認する項目をリストアップする。
それをファイルに片付けると、時計を見やる。
もう少し時間があったので、メールをチェックし、社員寮や借り上げ住宅の利用申請書の確認。
数件来ていたので、それを処理すると、ちょうどお昼のベルが鳴った。
「黒川部長ー。お昼、ご一緒しませんー?」
数人の女性社員に囲まれた部長を見やり、あたしはギクリとする。
――そうだ……お弁当、中身一緒じゃない!
万が一にも、気づかれたら面倒だ。
あたしは、急いで立ち上がると、持って来ていたお弁当をバッグから出して、部屋から出た。
――どうしよう。どこで食べようか……。
社食はダメだ。
あそこは、基本、利用者しか入れない。
でも、空いた部屋など、会議室くらいしか無い。
あたしは、仕方なしに、階段を上って行き、屋上手前で腰を下ろした。
――こんなトコでお昼って、学生じゃないんだから。
自嘲気味に笑みが浮かぶが、背に腹は代えられない。
そのまま、膝にお弁当を広げ、手を合わせて食べ始める。
「――……美味しい」
――何だか、悔しい。
――仕事も家事も完璧って、何よ。
出勤前に忘れ物が無いか、部屋を見渡した時、気がついてしまった。
部長は、洗濯も、あたしが起きた時には、自分の分は終わらせていたようだし、何なら、軽く床をワイパーで掃除していたようだった。
――……あたし……いらないんじゃ……。
けれど、そこまで考えて、微かに首を振った。
――”家政婦を置いている訳じゃない”。
そう言ってくれた部長の言葉は――何だか、信じていたかった。