EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
fight.15
ふてくされた朝日さんは、そのまま部屋を出て行き、あたしは一人ベッドの上に取り残された。
――……今まで、会った事の無いタイプだ。
だから、ダメ男になんてならないって、言い切れるんだろう。
”自分”を持っていて――あたしに世話をされる必要も無いくらい、何でもできて……。
そんな事を考えていると、ドアがノックされた。
「――じゃあ、オレはソファで寝るから。明日は、デート、だからな」
「……え、あ、朝日さん⁉」
何だか意地になっているような気もするが、そこは譲れないのか、念を押される。
「……あと」
「え?」
朝日さんは、つかつかと入って来て、あたしの頬を片手で掴んだ。
「――何で、合コンなんて行ってるんだ、お前は」
「え、あ」
あたしは、彼に何も言っていなかったのを思い出し、バツが悪くなる。
……今のこの関係が、どういうものなのか、よくわからないんだから、言う必要も無いような気もするけれど。
「お前なぁ……オレの恋人じゃないのか」
「ハ、ハイ……。あ、いえ、でも、数合わせなんで」
「誰かに引っ掛けられなかっただろうな」
あたしは、その言い方にムッとする。
尻の軽い女のように言わないでよ。
――今までだって、ちゃんと、本気だったんだから。
朝日さんをにらむように見上げると、困ったように微笑まれた。
「――……悪い。……まあ、ちょっと気になったんでな」
そう言って、あたしの頭を軽く叩くと、朝日さんは部屋から出て行った。
翌朝、うっすらと意識が浮上していくのを感じ、目を開ける。
ぼうっとした頭で起き上がると、辺りを見回して、一瞬、考えてしまった。
――……あれ?
……何で……ベッド……?
「……うっそ!今何時⁉」
ガバリと起き上がると、枕元に投げてあったスマホを手に取り、時間を確認。――そして、うなだれた。
もう、七時半を過ぎている。
あたしは、慌ててベッドから飛び降りると、部屋のドアを開けた。
「ああ、起きたか」
「――……おはよう……ございます……」
キッチンでは既に朝日さんが朝食を作り終えていたようで、テーブルに並んでいた。
「……すみません……あたしが作るはずだったのに……」
あたしがそう言うと、朝日さんは口元を上げた。
「別に構わない。大体、それはお前が勝手に言い張っただけだしな」
「でも」
「それより、起きたなら食べるか。支度して来い」
有無を言わせずに続けられ、あたしは、渋々うなづいた。
顔を洗って、部屋に戻り私服に着替える。
スッピンをほどほどにカバーしてからキッチンに戻り、テーブルに着けば、湯気の立ったご飯が差し出された。
「……ありがとうございます」
お礼を言って受け取ると、朝日さんは自分の分を持って目の前に座る。
二人で向かい合っての朝食は――家族のようで……気まずいような、くすぐったいような――やっぱり、妙な気分だ。
お互いに淡々と食事を進めていくと、不意に、朝日さんが箸を置いて言った。
「――で、今日はどこに行くつもりなんだ?」
「え?」
思わずキョトンとして返すと、彼は眉を寄せながら続ける。
「……ベッド、見に行くんだろう。家具屋なら、車出すぞ」
「えっ、あっ……」
――完全に忘れていた。
昨日のあれやこれやで、脳内は既にキャパオーバーも良いトコなのだ。
あたしの反応に、朝日さんは不機嫌を隠さない。
「……忘れてたな。――デートなんだろう」
「デッ……!」
口に入れかけたご飯を吹き出しそうになり、思わず手で押さえた。
どうにか飲み込み、味噌汁で流し込む。
「自分で言ったんだろうが」
「は⁉デ、デートみたいだ、って言っただけよ!」
「イコールだろう」
「記憶を改ざんしないで!」
ふてくされる朝日さんは、中々面倒で――あたしは、仕方なく折れる事にする。
――まあ、妙齢の男女が二人きりで出かけるなら――デートと思われても仕方ないんだから。
そう言い聞かせ、あたしは、残りの朝食を平らげた。
――……今まで、会った事の無いタイプだ。
だから、ダメ男になんてならないって、言い切れるんだろう。
”自分”を持っていて――あたしに世話をされる必要も無いくらい、何でもできて……。
そんな事を考えていると、ドアがノックされた。
「――じゃあ、オレはソファで寝るから。明日は、デート、だからな」
「……え、あ、朝日さん⁉」
何だか意地になっているような気もするが、そこは譲れないのか、念を押される。
「……あと」
「え?」
朝日さんは、つかつかと入って来て、あたしの頬を片手で掴んだ。
「――何で、合コンなんて行ってるんだ、お前は」
「え、あ」
あたしは、彼に何も言っていなかったのを思い出し、バツが悪くなる。
……今のこの関係が、どういうものなのか、よくわからないんだから、言う必要も無いような気もするけれど。
「お前なぁ……オレの恋人じゃないのか」
「ハ、ハイ……。あ、いえ、でも、数合わせなんで」
「誰かに引っ掛けられなかっただろうな」
あたしは、その言い方にムッとする。
尻の軽い女のように言わないでよ。
――今までだって、ちゃんと、本気だったんだから。
朝日さんをにらむように見上げると、困ったように微笑まれた。
「――……悪い。……まあ、ちょっと気になったんでな」
そう言って、あたしの頭を軽く叩くと、朝日さんは部屋から出て行った。
翌朝、うっすらと意識が浮上していくのを感じ、目を開ける。
ぼうっとした頭で起き上がると、辺りを見回して、一瞬、考えてしまった。
――……あれ?
……何で……ベッド……?
「……うっそ!今何時⁉」
ガバリと起き上がると、枕元に投げてあったスマホを手に取り、時間を確認。――そして、うなだれた。
もう、七時半を過ぎている。
あたしは、慌ててベッドから飛び降りると、部屋のドアを開けた。
「ああ、起きたか」
「――……おはよう……ございます……」
キッチンでは既に朝日さんが朝食を作り終えていたようで、テーブルに並んでいた。
「……すみません……あたしが作るはずだったのに……」
あたしがそう言うと、朝日さんは口元を上げた。
「別に構わない。大体、それはお前が勝手に言い張っただけだしな」
「でも」
「それより、起きたなら食べるか。支度して来い」
有無を言わせずに続けられ、あたしは、渋々うなづいた。
顔を洗って、部屋に戻り私服に着替える。
スッピンをほどほどにカバーしてからキッチンに戻り、テーブルに着けば、湯気の立ったご飯が差し出された。
「……ありがとうございます」
お礼を言って受け取ると、朝日さんは自分の分を持って目の前に座る。
二人で向かい合っての朝食は――家族のようで……気まずいような、くすぐったいような――やっぱり、妙な気分だ。
お互いに淡々と食事を進めていくと、不意に、朝日さんが箸を置いて言った。
「――で、今日はどこに行くつもりなんだ?」
「え?」
思わずキョトンとして返すと、彼は眉を寄せながら続ける。
「……ベッド、見に行くんだろう。家具屋なら、車出すぞ」
「えっ、あっ……」
――完全に忘れていた。
昨日のあれやこれやで、脳内は既にキャパオーバーも良いトコなのだ。
あたしの反応に、朝日さんは不機嫌を隠さない。
「……忘れてたな。――デートなんだろう」
「デッ……!」
口に入れかけたご飯を吹き出しそうになり、思わず手で押さえた。
どうにか飲み込み、味噌汁で流し込む。
「自分で言ったんだろうが」
「は⁉デ、デートみたいだ、って言っただけよ!」
「イコールだろう」
「記憶を改ざんしないで!」
ふてくされる朝日さんは、中々面倒で――あたしは、仕方なく折れる事にする。
――まあ、妙齢の男女が二人きりで出かけるなら――デートと思われても仕方ないんだから。
そう言い聞かせ、あたしは、残りの朝食を平らげた。