EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
「それで、今の状況は」
まるで、仕事の進捗確認のような言い方だけど、朝日さんにしては通常仕様なのだろう。
あたしは、うなづくと、先日のやり取りを伝える。
すると、朝日さんは、眉間のシワを深くしてあたしを見た。
「……おい、じゃあ、あの時の痕は……」
「”あと”?」
「……キスマーク……だ」
「……ああ、ハイ。……その時のヤツです」
淡々と返すあたしに、朝日さんは苦々しく返した。
「何でそんな冷静なんだ。……元カレとはいえ、同意でなければ、犯罪だろうが」
「……でも、そんな風にしたのは、あたしだから……」
「責任感で、むざむざと襲われに行ったのか」
「だって……あんな状況、放っておけないから……っ……!」
「自己責任だろう」
完全に並行線。
でも、朝日さんの言いたい事はわかる。
あたしだって、自分でもバカだと思うもの。
「美里、お前に元カレのツケを背負う責任なんて無い」
「――朝日さん」
「自分の人生には、自分で責任を持たないといけない。――少なくとも、自分の状況を、お前に責任転嫁するものじゃない」
真っ直ぐにあたしを見て言う朝日さんの胸に、あたしはそっと顔を寄せた。
「――美里?」
「……そう、なんですけどね……。……あたしは……バカだから……必要だって言われたら、放っておけないんですよ」
すると、朝日さんは、そのままあたしを抱き締める。
「――お前、前にも言ってたな。……必要とされたい。……それに、しがみつくような言い方だったが……何かあったのか」
あたしは、一瞬戸惑ったけれど、ゆっくりと口を開いた。
――この人には、言っても大丈夫な気がしたから。
「……あたし……養子、なんですよ」
「え」
「……実の両親、小さい頃に事故――で、亡くなって……母の妹……叔母さん夫婦に引き取られたんです。しばらく二人に子供がいなかったから、そのまま養子にしてもらって……」
あたしは、震えてくる声を振り絞る。
――……こんな事、舞子以外、知らないのに。
「……だから、二人には感謝してます。……でも……その後すぐに、弟が産まれて……妹も産まれて……あたしは、完全によそ者になっちゃって……」
「美里」
「……弟も妹も悪くないのはわかってます。ずっと、子供が欲しいって言ってた叔母夫妻も――」
「美里、もういい。わかった」
朝日さんは止めようとするけれど、あたしは、心の中に淀んでいたものを吐き出すように続けた。
「でも、あたしには、恐怖だったんです。いつか、いらないって思われるかもしれないって……だから……何でもいいから、必要としてもらいたかった」
「――……美里、わかったから」
「だから……っ……!……元カレ達が、どんなにダメ男だろうと、見捨てられなかった!……必要だって言われたかったの――……」
それ以上は、涙で止まった。
「――オレが、いる」
「……朝日……さん……?」
「――オレが、お前を必要としている。……もう、それで良しとしないか?」
真っ赤になりながらも、真っ直ぐにあたしを見て伝えてくれた彼に、うなづく。
「……ハイ……」
そして、自分から――彼に、キスをした。
まるで、仕事の進捗確認のような言い方だけど、朝日さんにしては通常仕様なのだろう。
あたしは、うなづくと、先日のやり取りを伝える。
すると、朝日さんは、眉間のシワを深くしてあたしを見た。
「……おい、じゃあ、あの時の痕は……」
「”あと”?」
「……キスマーク……だ」
「……ああ、ハイ。……その時のヤツです」
淡々と返すあたしに、朝日さんは苦々しく返した。
「何でそんな冷静なんだ。……元カレとはいえ、同意でなければ、犯罪だろうが」
「……でも、そんな風にしたのは、あたしだから……」
「責任感で、むざむざと襲われに行ったのか」
「だって……あんな状況、放っておけないから……っ……!」
「自己責任だろう」
完全に並行線。
でも、朝日さんの言いたい事はわかる。
あたしだって、自分でもバカだと思うもの。
「美里、お前に元カレのツケを背負う責任なんて無い」
「――朝日さん」
「自分の人生には、自分で責任を持たないといけない。――少なくとも、自分の状況を、お前に責任転嫁するものじゃない」
真っ直ぐにあたしを見て言う朝日さんの胸に、あたしはそっと顔を寄せた。
「――美里?」
「……そう、なんですけどね……。……あたしは……バカだから……必要だって言われたら、放っておけないんですよ」
すると、朝日さんは、そのままあたしを抱き締める。
「――お前、前にも言ってたな。……必要とされたい。……それに、しがみつくような言い方だったが……何かあったのか」
あたしは、一瞬戸惑ったけれど、ゆっくりと口を開いた。
――この人には、言っても大丈夫な気がしたから。
「……あたし……養子、なんですよ」
「え」
「……実の両親、小さい頃に事故――で、亡くなって……母の妹……叔母さん夫婦に引き取られたんです。しばらく二人に子供がいなかったから、そのまま養子にしてもらって……」
あたしは、震えてくる声を振り絞る。
――……こんな事、舞子以外、知らないのに。
「……だから、二人には感謝してます。……でも……その後すぐに、弟が産まれて……妹も産まれて……あたしは、完全によそ者になっちゃって……」
「美里」
「……弟も妹も悪くないのはわかってます。ずっと、子供が欲しいって言ってた叔母夫妻も――」
「美里、もういい。わかった」
朝日さんは止めようとするけれど、あたしは、心の中に淀んでいたものを吐き出すように続けた。
「でも、あたしには、恐怖だったんです。いつか、いらないって思われるかもしれないって……だから……何でもいいから、必要としてもらいたかった」
「――……美里、わかったから」
「だから……っ……!……元カレ達が、どんなにダメ男だろうと、見捨てられなかった!……必要だって言われたかったの――……」
それ以上は、涙で止まった。
「――オレが、いる」
「……朝日……さん……?」
「――オレが、お前を必要としている。……もう、それで良しとしないか?」
真っ赤になりながらも、真っ直ぐにあたしを見て伝えてくれた彼に、うなづく。
「……ハイ……」
そして、自分から――彼に、キスをした。