EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
fight.17
そのまま、マンションの部屋に入ると、どちらからともなく抱き締め合う。
さっきと同じ温もりなのに、感じるものが全然違うのは――あたし自身の意識の違いなのかもしれない。
「――美里」
朝日さんは、あたしの名を呼ぶと、髪に顔をうずめる。
「……泣きたいなら、泣いてもいいんだぞ」
「……べ、別に……っ……」
けれど、言葉とは裏腹に、涙があふれ始めた。
「聞こえてたんだが……二年以上も、付き合ってたんだな」
あたしは、かすかにうなづく。
「……でも……朝日さん……何でいたんですか……?」
待っていてって言ったはずなのに。
だが、ふてくされたように返された。
「あのな……震えながら別れ話に向かう女、そのまま放置できるか」
あたしは、少しだけバツが悪くなる。
……目ざといなぁ……。
隠せたと思っていたのに。
「……まあ、とりあえず様子だけ見守ろうかと思ったんだが……済まないな、黙っていられなかった」
申し訳なさそうに言う朝日さんに、あたしは、うつむきながら首を振った。
おかげで、寿和と別れられたんだから、責めるつもりなんて無い。
すると、彼は、あたしの髪を撫でながら言った。
「……だが……何だかんだ言っても続いていたんだから、相性は悪くなかったのか」
「――……わ……かんない……。……でも……きっと……アイツは、早い時期、から……浮気、してた……からっ……」
「――最低だな」
泣きながら絞り出す言葉に、朝日さんは不機嫌そうに返す。
「……でもっ……あたしは……それ、許してた……」
「――必要だって、言われてたからか」
あたしは、うなづく。
「何の情も無かったら……放っておけたけど……っ……」
「――それでも、好きだったのか」
「……最初っ……は……優しくて……あんな風じゃなくて……」
大事にしてもらっていたと思っていた。
最初に会った時は、お互いぎこちなくて、でも、時間が経ったら、次のデートを約束できるくらいには、気が合って――。
テーマパークに行ったり、おしゃれなデートをする訳じゃなかったけれど、それでも、楽しかった。
三回目のデートで寝た時には、もう、あたしは結婚を意識していたのに。
――同棲を始めてから、アイツは変わってしまった。
それは、歴代の彼氏と同じパターンで。
――またか。
舞子には、あきれたように、そう言われた。
でも、もしかしたら――そう思いたかった。
――……でも、結局――こうなっちゃった。
「美里」
名前を呼ばれ、顔を上げる。
すると、朝日さんの手が、そっと頬に触れた。
「――……今日は、もう、何もしなくていいから」
「……でも……」
「――これも、立派な失恋だろうが。……今日くらいは、思い出に浸っているのは許すから」
あたしは、泣きながらも苦笑いだ。
「……何で、そんなに偉そうに言うんですか」
「そんなつもりは無いんだと言ったが」
少しだけ、不満そうに朝日さんはあたしに言う。
その言い方も偉そうで――クスリ、と、笑みが浮かんだ。
さっきと同じ温もりなのに、感じるものが全然違うのは――あたし自身の意識の違いなのかもしれない。
「――美里」
朝日さんは、あたしの名を呼ぶと、髪に顔をうずめる。
「……泣きたいなら、泣いてもいいんだぞ」
「……べ、別に……っ……」
けれど、言葉とは裏腹に、涙があふれ始めた。
「聞こえてたんだが……二年以上も、付き合ってたんだな」
あたしは、かすかにうなづく。
「……でも……朝日さん……何でいたんですか……?」
待っていてって言ったはずなのに。
だが、ふてくされたように返された。
「あのな……震えながら別れ話に向かう女、そのまま放置できるか」
あたしは、少しだけバツが悪くなる。
……目ざといなぁ……。
隠せたと思っていたのに。
「……まあ、とりあえず様子だけ見守ろうかと思ったんだが……済まないな、黙っていられなかった」
申し訳なさそうに言う朝日さんに、あたしは、うつむきながら首を振った。
おかげで、寿和と別れられたんだから、責めるつもりなんて無い。
すると、彼は、あたしの髪を撫でながら言った。
「……だが……何だかんだ言っても続いていたんだから、相性は悪くなかったのか」
「――……わ……かんない……。……でも……きっと……アイツは、早い時期、から……浮気、してた……からっ……」
「――最低だな」
泣きながら絞り出す言葉に、朝日さんは不機嫌そうに返す。
「……でもっ……あたしは……それ、許してた……」
「――必要だって、言われてたからか」
あたしは、うなづく。
「何の情も無かったら……放っておけたけど……っ……」
「――それでも、好きだったのか」
「……最初っ……は……優しくて……あんな風じゃなくて……」
大事にしてもらっていたと思っていた。
最初に会った時は、お互いぎこちなくて、でも、時間が経ったら、次のデートを約束できるくらいには、気が合って――。
テーマパークに行ったり、おしゃれなデートをする訳じゃなかったけれど、それでも、楽しかった。
三回目のデートで寝た時には、もう、あたしは結婚を意識していたのに。
――同棲を始めてから、アイツは変わってしまった。
それは、歴代の彼氏と同じパターンで。
――またか。
舞子には、あきれたように、そう言われた。
でも、もしかしたら――そう思いたかった。
――……でも、結局――こうなっちゃった。
「美里」
名前を呼ばれ、顔を上げる。
すると、朝日さんの手が、そっと頬に触れた。
「――……今日は、もう、何もしなくていいから」
「……でも……」
「――これも、立派な失恋だろうが。……今日くらいは、思い出に浸っているのは許すから」
あたしは、泣きながらも苦笑いだ。
「……何で、そんなに偉そうに言うんですか」
「そんなつもりは無いんだと言ったが」
少しだけ、不満そうに朝日さんはあたしに言う。
その言い方も偉そうで――クスリ、と、笑みが浮かんだ。