EASY GAME-ダメ男製造機と完璧上司の恋愛イニシアチブ争奪戦ー
それから、あたしも一緒に朝食を作り、二人で食べ終え、掃除と洗濯まで終わらせる。
つけられたキスマークが気になりすぎて、いつもの半分以下の動きしかできず、不満だったが、朝日さんは満足そうに動いていた。
掃除機を片付けに行った彼を見やりながら、あたしは、キッチンで洗い終えたお皿を拭く。
だが、不意に、寿和と同棲していた時を思い出し、軽く頭を振った。
――アイツとは、こんな風に一緒に家事をする事も無かったな……。
姿は元に戻ったけれど、これから、ちゃんと、生活できるんだろうか。
「――美里」
「え?」
すると、目の前に、眉を寄せた朝日さんの端正な顔が現れ、あたしは思わず一歩下がった。
「……何で下がる」
「だって」
「まあいい。……これから、どうする?家にずっとこもるなら、配信サービスで何か観るか?」
あたしは、一瞬考えるが、首を振った。
「……ありがとうございます。でも、今は、そういう気分でも無いんで」
そう言って、ソファに座る。
朝日さんも、隣に座った。
「――……何か……別れたと思うと、いろいろ思い出しちゃって」
苦笑いで、視線を下げる。
もう、涙は枯れているのか、にじむくらいだったけれど、それでもまだ、流れ出ようとしている。
「美里」
朝日さんは、そっと、あたしを抱くと、ゆっくりと口づけた。
「――……もう、考えるな」
「……無理ですよ。……やっぱり、二年以上も一緒にいたから……」
再び唇が重なる。
今度は、深く、あたしをうかがうように。
しばらく、お互いに口内をまさぐり合うと、朝日さんは、そっとあたしを離した。
「――朝日さん?」
「……悪い。……そろそろ、我慢がきかなくなる」
そう言って、視線を逸らす彼に、あたしは微笑んで返した。
「散々、キスマークつけたクセに?」
「……あれで限界だ。自分で自分の首を絞めている自覚はある」
朝日さんは、チラリとあたしを見返すと、そのまま手だけあたしに伸ばし、髪を撫でた。
「……言っただろう。……機会が無いだけで、欲が無い訳じゃない。――何なら、お前がここに来た時から、理性が切れるかと思うくらい我慢してたんだが」
あたしは、目を丸くする。
――そんな風には、全然見えなかったのに。
「……ありがとうございます」
「え?」
「――……何だか、自分が大事にされてるみたいに思えて」
「何を、当たり前の事を」
あたしは、朝日さんの両頬に触れる。
その肌は、しっとりとして気持ちいい。
男の人なのに、肌の手入れまで完璧なんて、何だか腹が立つわ。
「……美里?」
戸惑う朝日さんに、あたしはキスをする。
――たぶん、この人なら――あたしは、今度こそ、幸せになれる。
素直に、そう思えた。
「……朝日さん……。……あたしを、本当の彼女にしてくれますか……?」
「……っ……!」
彼は、目を見開くと、すぐに、あたしをきつく抱き締める。
「――当然だろう。……もう、彼女のつもりだったが?」
強がるように言うけれど、その声は、少しだけ震えていた。
あたしは、クスリ、と、笑い、彼の首に腕を回す。
「――いろいろと、先走りすぎです」
「……悪かったな」
朝日さんは、あたしの耳元で囁く。
その低い声に、全身がしびれる。
「――先走ってる自覚はあるがな。……何だか、自制心が弱くなってるようだ」
そう言って、彼は、何度もあたしにキスをした。
つけられたキスマークが気になりすぎて、いつもの半分以下の動きしかできず、不満だったが、朝日さんは満足そうに動いていた。
掃除機を片付けに行った彼を見やりながら、あたしは、キッチンで洗い終えたお皿を拭く。
だが、不意に、寿和と同棲していた時を思い出し、軽く頭を振った。
――アイツとは、こんな風に一緒に家事をする事も無かったな……。
姿は元に戻ったけれど、これから、ちゃんと、生活できるんだろうか。
「――美里」
「え?」
すると、目の前に、眉を寄せた朝日さんの端正な顔が現れ、あたしは思わず一歩下がった。
「……何で下がる」
「だって」
「まあいい。……これから、どうする?家にずっとこもるなら、配信サービスで何か観るか?」
あたしは、一瞬考えるが、首を振った。
「……ありがとうございます。でも、今は、そういう気分でも無いんで」
そう言って、ソファに座る。
朝日さんも、隣に座った。
「――……何か……別れたと思うと、いろいろ思い出しちゃって」
苦笑いで、視線を下げる。
もう、涙は枯れているのか、にじむくらいだったけれど、それでもまだ、流れ出ようとしている。
「美里」
朝日さんは、そっと、あたしを抱くと、ゆっくりと口づけた。
「――……もう、考えるな」
「……無理ですよ。……やっぱり、二年以上も一緒にいたから……」
再び唇が重なる。
今度は、深く、あたしをうかがうように。
しばらく、お互いに口内をまさぐり合うと、朝日さんは、そっとあたしを離した。
「――朝日さん?」
「……悪い。……そろそろ、我慢がきかなくなる」
そう言って、視線を逸らす彼に、あたしは微笑んで返した。
「散々、キスマークつけたクセに?」
「……あれで限界だ。自分で自分の首を絞めている自覚はある」
朝日さんは、チラリとあたしを見返すと、そのまま手だけあたしに伸ばし、髪を撫でた。
「……言っただろう。……機会が無いだけで、欲が無い訳じゃない。――何なら、お前がここに来た時から、理性が切れるかと思うくらい我慢してたんだが」
あたしは、目を丸くする。
――そんな風には、全然見えなかったのに。
「……ありがとうございます」
「え?」
「――……何だか、自分が大事にされてるみたいに思えて」
「何を、当たり前の事を」
あたしは、朝日さんの両頬に触れる。
その肌は、しっとりとして気持ちいい。
男の人なのに、肌の手入れまで完璧なんて、何だか腹が立つわ。
「……美里?」
戸惑う朝日さんに、あたしはキスをする。
――たぶん、この人なら――あたしは、今度こそ、幸せになれる。
素直に、そう思えた。
「……朝日さん……。……あたしを、本当の彼女にしてくれますか……?」
「……っ……!」
彼は、目を見開くと、すぐに、あたしをきつく抱き締める。
「――当然だろう。……もう、彼女のつもりだったが?」
強がるように言うけれど、その声は、少しだけ震えていた。
あたしは、クスリ、と、笑い、彼の首に腕を回す。
「――いろいろと、先走りすぎです」
「……悪かったな」
朝日さんは、あたしの耳元で囁く。
その低い声に、全身がしびれる。
「――先走ってる自覚はあるがな。……何だか、自制心が弱くなってるようだ」
そう言って、彼は、何度もあたしにキスをした。