同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
「顔で判断できないのなら、なにで判断してるんです?」

「声としゃべり方かな」

 それはそれですごいですね、と言ったところで、自分の住まいに着いたことに気がついた。

「では、ここで。
 ありがとうございました」
と頭を下げる。

 田中がその川沿いの古い建物を見上げた。

「ここに住んでるのか」

「はあ。
 こういうとこ、住んでみたかったんで」

 家の中から釣りができる二階建ての長屋、みたいな賃貸物件だ。

「涼しそうだな」

「結構湿気、ありますけどね」

 ではでは、お元気で、ともう会うこともないかもしれない田中に頭を下げた。
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