同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
「あの日さ。
 田中さんと呑み屋街を歩いて帰ったとき。

 綺麗だったんだ。
 明るいネオンの光にかき消えてしまいそうな月の光。

 バッタがいますねって言ったら、そうだなって……」

「なんかいい感じじゃないか」

 実際には、唐突に、バッタ、と言っためぐるに、田中は戸惑っていたのだが。

 まあ、いい雰囲気なところは間違いではなかった。

「だから、それを思い出しながら、作ってみたの」
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