同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
 そこでようやく気づいたようで、黒木田は健を振り向き言った。

「……健、いたのか」

 田中が小声で、めぐるに教えてくれる。

「黒木田は健が苦手なんだ。
 ああ、対局のときの話だが」

「名人の黒木田さんは、健さんが苦手なんですか。
 竜王の田中さんは、久門さんが苦手なんですよね」

「いや、久門は全員、苦手だろ」
と聞こえていたらしく、黒木田が言う。

「あいつと向かい合っていると、騒がしい気配の粒子が飛んでくる気がして落ち着かない」

「繊細な奴は大打撃だよな」
と健が同意する。

「いろいろ相性があるからねえ」
と師匠は笑ったあとで、

「そういえば、黒木田くんは、なんで健くんが苦手なのかな?」
と黒木田に訊いていた。
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