同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
 


「田中とは絶対に当たりたくない。
 あいつ、強すぎて全て打ち負かすから、『盤上の死神』って言われるらしいけど。

 いや、俺なんか対戦相手に田中の名を見ただけで、即死してたからっ。
 ふだん一緒に打ってる相手なのに、まったく先が読めなくて怖いんだよ。

 ほんと、地獄からの一手がやってくるっ、みたいな感じだった」
と田中の恐怖について語った健の話をさんざん聞いたあと、めぐるは家に帰った。

 そろそろこの長屋も取り壊し。

 片付けねばな。

 まあ、物はあまりないけど。

 百合香の
「ところで、あんた、いつまで日本にいるんだい」
という言葉を思い出しながら、めぐるは祈る。

 田中さん、次は勝ちますように――。



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