同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
 


「姉貴、モテモテだね」

 厨房に向かうめぐるに雄嵩が言う。

「いや、別に、誰も私を好きなわけじゃないのよ。
 好きと言うなら、お互いを好きなんじゃない?

 男同士、なにかを争ってわちゃわちゃ盛り上がっていたいだけなのよ」

 そうめぐるがもらすと、

「そうだね。

 でも――
 田中さんは違う気がするけど」
と雄嵩は言う。

「盤上の死神、田中竜王が欲しいものだから、みんな欲しがってるんだよ。
 優勝トロフィーみたいに」

「……田中さんが私なんて好きになるわけないじゃない。
 絶望のタヌキなのに」
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