同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
「いやいや。
 ありがたくもなくともないよ、私の話なんて。

 返り咲ければありがたいかもなんだけど。
 失敗談としてさ――」
と自分で言い、めぐるは笑う。

 そのとき、ガラガラとガラス戸を開ける音がした。

「すみません。
 お釣り間違ってたみたいなんですけど」
と言う声がした。

「あ、田中さん」
「田中様っ」

 高校生二人が先に走っていく。
< 44 / 521 >

この作品をシェア

pagetop