同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
 いつも見惚れてしまう田中の細くて綺麗な手が、ソファの上に置いているめぐるの手をそっと握った。

 振り向いても視線は合わない。

 ……合わないけど。

 合わないところが、なんか田中さんらしくて、ホッとする。

 めぐるもまた田中の方を見ないまま。

 照れながら――

 でも、ちょっとだけ、

 田中の手を握り返した。


                          完


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