同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
 そういえば、あれから黒木田は、和菓子屋にも食堂にも来るようになったのだが。

「俺は勝って、コスプレをやりたい」
と真顔で言っていた。

「いつもと違う自分を皆様にお見せして、楽しんでもらいたい」

 そんな感心なことを最初は言っていたのだが。

 そのうち、

「第三局の会場に(ちな)んだ、やりたいコスプレがあるんだ。
 それとなく、関係者たちにも言っている。

 だから、俺は第三局はどうしても勝たねばならないんだ」
と熱く語り出した。

 そんな黒木田をまぶしげに田中は見つめている。

 要求されれば、下手な字でサインを書く気概はあっても。

 コスプレをぜひやりたいというほどのサービス精神は彼にはないようだった。

 ……っていうか、なぜ、勝負よりそっちが焦点に。

 王将戦とは……、と思いながら、めぐるは二人を眺めていた。



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