同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
実家の居間の固定電話を切って部屋に戻ると、田中は本棚の前に立って、分厚い文庫本を読んでいた。
「あ、それ、もう読んだんで、お貸ししますよ」
と言ったが、いや、いい、と言って、田中は棚に戻した。
「電話、なんだったんだ?」
「ああ、今度、幼稚園のときのメンツでも同窓会をやろうかって話になったみたいで」
と言うと、田中は沈黙する。
「どうかしましたか?」
「……いや、別に。
ところで、来た途端に、お前が電話に出てしまったので、聞きそびれていたんだが。
その服はなんなんだ」
めぐるはチャイナっぽいフリースとパンツを着ていた。
「ああ、スランプ脱出の気分転換にと思って、気功をはじめたんです。
で、まずは衣装からと思って。
はっ」
とめぐるは片手を田中に向かい突き出してみせる。
「……俺は飛ばされてみせないといけないのか?」
「いえいえ。
動画見ながら軽くやってるだけなんで」
とめぐるは笑う。