同窓会に行ったら、知らない人がとなりに座っていました
 


 田中はお手洗いから出て廊下を歩いていた。

 何処もかしこも開け放してあるので、あちこちの部屋の笑い声が響いてちょっと騒がしいが。

 川からの風が気持ちいい。

 自分と入れ違いに、あの、めぐるとかいう転校していった生徒……

 いや、転校していったのは、ずいぶん昔のようなのだが――

 が廊下に出ようとしていた。

 こちらに気づき、あ、どうもどうも、という感じに、へこへこして去っていく。

 よく見れば綺麗な顔をしているのだが。

 何故か、ヘラヘラしている、という印象しか残らない。

 軽く頭を下げて、席に戻ると、みんながめぐるの後ろ姿を見ながら言っていた。

「まあ、今日は触れないでおいてやろう」
「そうだね」
とみんなが頷き合う。
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