運命に従ってみた
トイレで鏡を見ながら髪をさっと手で整え
ボックス席に戻ろうと、ふとカウンターの方に目を向けると


…かなえさんいたんだった。


渉の元カノ…だったよね。

一気に不安になってしまっている。


テンションが下がりそうになる自分の頬を叩き

再び渉の隣に座り、お酒を一口飲むと



「真矢ちゃん、仕事終わったら電話して」


そう言うと、渉は帰って行ってしまった。


トイレから戻ってきた男性が


「渉もう帰ったの?」


なんて驚いている。


「真矢ちゃんの事気に入ってたから、今日は長くいると思ったんだけどなー」

「でも長くいた方じゃね?」

「たしかにー」

「店に顔出し行ったんじゃね?」

「ボーイいるから関係なくね?」

「女んとこじゃね?」

「いや、男んとこじゃね?」

「あぁ、でも俺も渉ならギリいけるかも」

「たしかに顔いいもんなー」

「俺が渉だったら女遊びしまくるけどなぁ」


みんな言いたい放題だ…

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