運命に従ってみた
不動産屋の店舗に戻り、一通りの書類を書いてみるものの…


職業の欄に手が止まってしまった。


「あの…ちょっと電話してきても大丈夫ですか?」


「はい、大丈夫ですよ」


店舗の外に出て、携帯を取りだし


「はい?」

「あ、あのお願いがあるんだけど」

「うん?なに?」

「アパート契約するのに職業がいるんだけど
亮のお店の名前書いてもいい?」

「え?あー…」


嫌そうな声なのは分かる。

が、私がこうなったのは亮の責任が大きいわけで

何だか、イライラしてきてしまう自分。


「別に未払い分の給料払えって言ってるわけじゃないんだから、勤務地の名前くらいはいいんじゃないの?
仕事も家も一気になくなったんだから」


思わず強く言ってしまった。


「う、うん。いいよ。勤務地に書いても」

「迷惑はかけないから。じゃ、ありがとう」


了承は得た。よし。


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