運命に従ってみた
少し薄暗い店内は、黒い壁紙と間接照明で
すごくお洒落な雰囲気だ。


「更衣室とかないから、この棚に荷物置いてもらったらいいから」

黒いカーテンに囲まれたような小さなスペースには
冷蔵庫と、ビール用グラスなどがあり
その隣に置いてある棚が荷物置き場になっているようだ。
鏡なども設置してあり、客席から見えない簡単な小さな更衣室みたいなものだ。

「ビールはこの冷蔵庫にあるから
このグラスに注いでね。
あと、水割りはこのグラスで
これはレモンサワーで…」


次から次に説明されすぎて
頭がキャパオーバーになりつつある…


「す、すいません!
私物覚え悪くて…メモとっていいですか?」


そう言う私に少し含み笑いしながら

「ごめんごめん、一気に言いすぎたね。ふふ
メモとかとらなくていいよ
目と、耳と、感覚で覚えてくれたら」


目と耳と感覚って…

メモとりながら覚えるのが普通だと思ってたんだけど


夜の世界って、こんなにも違うもんなんだ…
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