運命に従ってみた
「ピンクって言えば
渉ちゃんしかいないな。
電話してみるから待っててな」

わたるちゃん…?ちゃん?

何か愛嬌のある呼び名ではあるけれど…


おじちゃんが電話してくれてから1分ほどで


「真矢ちゃん、ごめんごめん」


走ってきてくれたピンクアッシュくん。


「わたるちゃんの彼女かー?」


呼んでくれたおじちゃんがそんな事を言いながら
近くのワゴン車の横に座りお弁当を広げている。


「そ、彼女。可愛いっしょ?
弁当作ってもらっちったー」


そう言いながら、渡したお弁当を上にあげるように自慢げに見せている。


「あ、真矢ちゃん。ほいこれ」


と渡されたのは千円札で


「え?いらないです。いらない」


返そうとするけれど受け取らず


「真矢ちゃん、電話番号は?」

携帯を出しながらそんな事を聞いてくるから

思わず、素直に言ってしまっている私…


「さ、愛情弁当食べようっと」


笑顔でそう言うと、さっきのおじちゃんの隣に座り込み、お弁当を開け

「ほら、中村さん
俺の弁当すげーでしょ」

自慢してるし…


「真矢ちゃんもここおいでよ」

と言われるものの…


「あ、いえ…帰らないと…
じゃあ。また…」


と頭を下げ、帰りながら

電話くるかな…

お弁当嫌いな物入ってなかったかな…

あぁ、もうちょっと彩り考えれば良かった

なんてぐるぐる考えてしまっている。

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