運命に従ってみた
「お腹いっぱいになった?」

「おかげさまで…ご馳走さまでした」

店を出て大きく頭を下げると


「んじゃ、次は飲み行こ」


そう言いながら、私の手を握り歩き始めた。


えぇっと…飲みに行く…うん、飲みに行くのはいいとして

この繋がれた手はどうすればいいんだろう。


というか、手繋いでこんな繁華街歩くとか

初めてだし…

これは周りから見たら恋人にしか見えないでしょ

ペットじゃなくて、彼女だよ、彼女

やばー、これは幸せだ。

違う、そういう問題じゃないんだってば…


再び自分の中でのボケと突っ込み炸裂中だ。


「真矢ちゃんと初めて出会った場所到着」


そう言いながら扉を開けると


見覚えのある雰囲気…


「あ、渉さん」

店員さんが駆け寄ってきたものの


「どした?」

「それが…」

店内の音楽と、耳元で話してるせいで

何を話してるか全然分からないけれど

微妙に問題発生なのは薄々分かる。
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