運命に従ってみた
「俺も、自分に負けそう…」

「負けそう?」

「やっぱ、声聞いてると会いたいや。
今から2時間だけ会いに行っていい?」

「え?あ…う、うん」

会いに?ここに?家に?


「今から、車で行くから
5分くらいで着くけど…
何号室?」


「えっと、203だけど…」


「んじゃ、今から行くね」


えぇぇ!?今から渉がくる?

この家に?

やばい、やばい。脱ぎ散らかした服を
一気に洗濯機に放り投げ

飲みかけのお茶を冷蔵庫に入れ

フローリングを拭いてる途中で


ピンポーン



はやい、はやいぞ。


少し乱れた髪を整え

玄関を開けると


作業着でもない、普段着でもない

これは…部屋着というものなのか?

少しダボっとしたスウェットのようなズボンに
大きめの白いTシャツが

美形を際立たせている。


アッシュピンクの髪は

少しだけ寝癖がついていて


この人は、一体
どれほどの顔をもっているんだろう。
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