愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
「っ……!案内の時間が無くなります!早く、行きましょう……!」


私はなんとか言葉を絞り出して、応接室の扉の取手に手をかける。

その時、奏吾さんが小さな声で何かを言った気がした。


「真っ赤な陽月も可愛いすぎるな。変な虫が付かないように注意しないと」


「奏吾さん、何か言いました?」


「なんでもないよ。じゃあ、行こうか」


応接室のドアを開けると、部屋の外の冷気を感じて、熱った頬が徐々に冷めていくことを願った。
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