愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される

会社の案内がほとんど終わった頃、私の部署の前を通り過ぎた。

奏吾さんが私から離れて、部長へ挨拶に向かう。


「ねぇ、あれ見て！めっちゃイケメンがいる！」

「深井さんと一緒に歩いてるってことは、本社の人ってこと！？」

「は？最悪なんだけど！あんなイケメンなら、私が案内すれば良かった！」


日野下さん達が部長と会議室に向かった奏吾さんを見て、会話を弾ませている。

奏吾さんが部長と話している間にも、奏吾さんの噂は部署内に広がっていく。


「ちょっと待って……！あのイケメン、滝田財閥の御曹司らしい！」

「は！？冗談でしょ！？」

「本当だって！」


奏吾さんのことを知ると、みんなが今まで嫌がっていたはずの案内役への見方が変わる。