愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
「深井さんは案内役を途中で辞めたくはないみたいだよ。それに俺も案内役は深井さんがいい」


「でも、深井さんは仕事が残っていて……!」


そう言って、日野下さんが仕事の資料が積み上がったままの私の机を指差す。

奏吾さんは、日野下さんが指差した先の私の机に目を向けた。


「深井さんがこんなに仕事を残すタイプには見えないけど。これは本当に深井さんだけの責任なの?」


「っ……!」


彼女達が黙った様子を見て、奏吾さんは私の置かれている状況を察したようだった。

奏吾さんは何も言わなくなった日野下さん達から離れ、私に近づき、小声で私に声をかける。


「陽月、もう行こう?」


私にだけ聞こえるように話したのは、私がさらに理不尽に彼女達の怒りを買わないための配慮だろう。

私は奏吾さんに連れられるまま、その場を離れた。
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