愛されることを知らない私は、御曹司様と出会い溺愛される
「甘いよね、陽月は」


「……?」


「昔なら俺も陽月の言葉を信じただろう。それに実際、俺も助けに行けるほど力もなかったし、強くもなかった。でも、もう違う。ずっと陽月を幸せにするために頑張ってきたんだ」

「さっき俺は、陽月が『助けて』と言えばいつでも助けに行くと言った。それでも、甘えるのが下手な君はきっと俺に『助けて』とは言わないだろう」

「陽月、一人で耐えることだけが強いことじゃないんだよ。周りに『助けて』と言えることも強さの一つなんだ」


奏吾さんが私を抱きしめる腕に力を込める。



「俺を頼ってよ、陽月」

「陽月が俺に甘えてくれるなら、俺はなんだってするよ」



奏吾さんが私を抱きしめる腕を緩め、もう一度私を目を合わす。

私が恥ずかしくて目を逸らそうとすると、奏吾さんが私の頬に手を当て、顔を逸らすことを許さない。




「目を逸らしちゃダメだと言っただろう?」




一体、そのままどれくらい経ったのだろう。

たった十秒程がとても長い時間に感じる。
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